ゲームやアニメの感想などを書いているブログ
この度ヘッドホンとは以下の理由により縁を切りまして新たにカナル型イヤホンのベストセラー「Final E3000」とお付き合いすることにしました。というわけでしてかなり熟考を重ねた結果この「Final E3000」を今回購入しましたので少しレビューしてみます。
他に候補としてはこちらもベストセラーの「Sennheiser IE40」も考えたのだけどやはりイヤホンに1万以上を出すのは躊躇われたしそもそもSHURE掛けってのが好きになれずパス。次にE3000と人気を二分しているらしい「intime 碧Light」も名前の爽やかさと見た目の可愛らしさから惹かれましたが音質の特性を吟味すると今まで使っていたイヤホン「ZERO AUDIO ZH-BX500」とサウンドカラーが似ていそうなので今回成し遂げたいアコースティック面強化という主目的からパス。E3000は調べれば調べるほど自分の趣向と合致していたのだけどただネックは見た目がまんまBX-500と似ていて新鮮味がないこと、あと鳴らす能率が悪いらしくてかなりボリューム上げないと駄目らしいということ。その辺りが懸念材料でしたがさてはてどうなったか。
本機の紹介の前にこれまで使っていたBX-500の紹介。詳しくは当ブログの記事(ZERO AUDIO ZH-BX500 を購入レビュー | 妄想シンフォニー)で書いていますが改めて。BX-500の特徴はバランストアーマチュア(BA型)を1基搭載していることにより高音域が綺羅びやかに響き解像度もくっきりと高いこと。特にエレクトロ系の打ち込み音楽を聴く場合は最上のサウンド体験が味わえましたね。ゲーム音楽のみを聴くだけならBX-500でそう不満はなかったです。正直買った当初は失敗だったかなと思いそれ以降は以前から持っていたヘッドホン「AKG K712PRO」ばかり使っていましたが歳のせいか首と肩凝りが年々酷くなりヘッドホン着用に嫌気が差してきたので久々にBX-500を引っ張り出してみたらこれまた以前と見違えるほど良くて。すっかりヘッドホン派からイヤホン派に転向していまいましたね。
前置きが長くなりましたが早速本機E3000を開封。よくある化学製品的な匂いはせず無臭。イヤホン本体の他の付属物は一般的なイヤホンと同様+イヤーフック。イヤーピースはFinal社のこちらもベストセラーな「TYPE E」がそっくりそのまま付いてきてこれだけで980円。さらにイヤーフックも単体で発売されているものなのでこれも980円。つまり実質2000円とちょっとで高音質イヤホンを変えたようなものとはなんて太っ腹なんでしょう。
本体はステンレス製の鏡面仕上げとなっていて他とは一味違うリッチな見た目。ただ今まで使っていたBX-500も同じような見た目なのでやはり新鮮味は薄い。詳しくない人に見せたら同じイヤホンと思われてしまうかもしれませんね。もちろん違いはあってまずハウジングの材質はBX-500がアルミ製、本機がステンレス製という違いがあります、といっても見た目はやはり大差ないですが。あと本機の後面にはメッシュのような小さな穴も無数に空いていますね。一方BX-500は何も空いていないのでこの辺りがBA型とダイナミック型の機構の違いってことなんでしょうか。ただ本機は後面が鋭角にデザインされているせいか装着した場合、位置によっては耳たぶの中側が痛くなったりも。その点BX-500は後面に傾斜が付いているので皮膚に当たってもそう痛くなりませんでした。
本体から伸びるコードとの接合部分はなんとも頼りない。BX-500はここをさらに二重に被膜していて安心感がありましたが本機はハウジングからそのまま1本の線がニョキッと伸びているだけ。使いようによってはブチッてなる確率はこちらのほうが遥かに高そうです。あとコード自体の直径も僅かに違うのか本機のほうがヒョロっとしていてやはり頼りない。指で摘んでスーッと動かすと僅かな引っ掛かりやよれも感じたり。作りが甘い?個体差?BX-500も細いけど特にヒョロっとしていなくて指で滑らせてもずっと滑らか。ちなみにイヤホンコードといえば他社でたまにあるペッタンコになったきしめんコードもありますがあれはタッチノイズがうるさくなるし寒いときにコードが固くなるから避けてます(SONY MDR-XB30EXで実体験済み)。
本機で最も特筆すべき点なのは同社のイヤーピース「E-TYPE・BLACK」がサイズ別に本機に予め装着されているのも含めて全5種類同梱されていること。確かにこれまでのイヤーピースとは違う上質感があってこれだけでもかなり音質向上に付与していそうです。それがセットで付いてくるのだからお得。とりあえず最初はMサイズからはじめて色々と他のサイズを試してみましたが今のところはSサイズがしっくりときていますかね。このイヤーピースはある程度他のイヤホンと互換性があるのでBX-500にも付けられました。これは嬉しい。そうしてどんどんイヤーピース沼に…。
隣り合うサイズでピンク色と赤色で軸が別けられているから見分けやすいのは素晴らしいです。地味なところだけどこうゆう気配りは嬉しいですね。ただ小袋に入れてるとやはり分かりづらくなるので他のケースに入れました。ダイソーの釘とかを買ったときのケース。これがイヤーピース入れに便利。
付属のミニポーチはレザー素材ぽくてツルツルしています。BX-500のミニポーチは猫の毛が付着しやすい普通の布製でした。
で、本機の最大の弱点は左右のLRが区別しずらいってこと。一応ハウジング下にLとRの印字がそれぞれされているけど反射することもあってかなり見ずらくあってないようなもの。一方、BX-500も左右対象だけどLRの印字は本機よりも見やすい。さらにL側には上の写真で示してるようにぽっちみたいな突起物がハウジングから伸びてるコードの根本に付いてて暗がりでも一発で分かる利点があります。でも本機には触って判断出来るようなものは一切ない。付けたいときにすぐに分からないのはかなりマイナス。別メーカーとはいえ退化してどうする、って感じですね。R側のイヤーピース内側は軸部分が赤色になっていてこれだけが頼り。ただイヤーピースを少し捲って中を覗き込まないと見えない。一方は指先の感触、一方は色による視認、どっちが利便性いいかは自明の理ですよね。他社のアイデアを敢えてパクらないのはFinal社の矜持なのかもしれませんがそれなら他のアイデアを見せて欲しかったところです。
エージングはイヤホンやヘッドホンなどアナログな部分を持つオーディオ機器には必須の儀式。普段聴いているお気に入り曲のプレイリストを延々とシャッフル再生しました。一晩から昼間まで再生させ続けてその間、再生していないときもあったけど大体12時間ぐらい。巷では一週間とかそんな話もあるけど正直そこまでやる必要はないような気も。というか早く聴きたくてウズウズしているのだから待てませんよw
音質については個人の主観によるところが大きいのであくまでも参考程度に。自分が評価するならひとことで言うと暖色系。BX-500は寒色系だったけど本機は包み込むような感じ。音場は明らかにBX-500より広くて軽くヘッドホン並。立体的に豊かに鳴らしてくれます。低音、中音、高音はどれも過不足なくバランス良好。BX-500は綺羅びやか過ぎて偶に高音域が刺さって耳に痛いときがあったのだけど同じ高音域が刺さる曲を聴いても本機では刺さりを感じません。これだけで買った甲斐があったというものです。解像度も十分。BX-500で聴こえる音が本機では聴こえないってこともないです。逆にBX-500で聴こえなかった音が聴こえた曲もあったりしました。
大体において公式サイト(E3000 | final)の謳い文句通りで間違いないと思いますね。「高い解像度とフラットでナチュラルな音質」「強調した音域を作らないことで、高い解像度と広いサウンドステージを実現」「低音から高音までバランス良く再生」「ホールで音楽を聴いているような音の広がり」「アコースティックやジャズ、クラシックなどの、生音が響く"空気感"」
そして本機を買った主目的のオーケストラ再生はそうゆうこともあって期待通り。ピアノやヴァイオリンなどの器楽曲、小編成の室内楽曲、大編成のフルオーケストラ曲、例えばバッハからベートーヴェン、ブラームス、チャイコフスキー、ドヴォルザーク、ストラヴィンスキー、マーラーといったあらゆる編成の楽曲を聴いていきましたがサウンドに違和感や不満を感じたことは一切無し。これまではオーケストラ曲を「AKG K712PRO」や「Sennheiser HD598」といったヘッドホンで聴いていた自分が何も不満を覚えなかったのだからこれはホンモノでしょう。
総じて触れ込み通りの高性能で満足。高音域の刺さり、フルオケの不満ない再生、本機に期待していたことは全て合格。BX-500が小さな体で懸命に鳴らしているところを本機は余裕をもって鳴らしている感じですね。ただLRの認識など外観に不満はありましたがまぁ目を瞑りましょう。あとはどらぐらいの耐久性があるかどうか。ちなみに屋外では使いません。屋内専用、PCの前に座ってるときのみです。なのでそう負荷は掛からないはず。少なくとも5年は正常に動いて欲しいところです。
17:46
ゲームをクリアしてから数ヶ月、だいぶ待たされてしまいましたがやっと「英雄伝説 創の軌跡 オリジナルサウンドトラック」を買うことが叶いました。今回もこれまでのサントラと同様に拙いながらもレビューしていきましょうか。ゲームクリアしてからの感想レビュー記事と同様に今回も本編の重大なネタバレはない筈です。
購入した初回限定盤は特殊パッケージ仕様。白を基調としたシンプルなジャケットですがホログラム加工の綺羅びやかさもあって美麗で格調の高い仕上がり。これは所有感を存分に満たされますし飾りたくなりますね。最近はすっかりハイレゾ配信やサブスクが主流ですがやはりこうゆう特典があるから自分はフィジカルメディアのほうが好きですし今後もCDが発売される限り買い続けることになると思います。
ジャケットのラピスの絵は実は既存絵の流用ですがセンス良くリデザインされていて使い回しを感じさせません。遠目から見ると銀色に見えるラピスのシルエットですが近くで色々な角度から見るとホログラム特有の千差万別な変化が楽しめます。ある意味この何色にも染まっていなさがラピスの今後を象徴しているかのようにも受け取れますね。そういった演出的な面も含めてここ最近のサントラジャケットでは出色の出来ではないでしょうか。そしてスリーブケースから取り出したCDケースがそのまま通常盤となります。通常盤のジャケットには盟主の絵が使われていてやはりこちらも流用ですが元々が美しい絵だったので野暮ったさは微塵も感じさせません。今回のアートワークはどれも良い仕事していると思います。素晴らしい。
あとスリーブケースの表面の紙質について。吸い付くような手触りとなっていて独特の加工がされています。画像では伝わりづらいと思いますが普通のよくある紙材質ではないことは確か。自分もこのようなスリーブケース加工は初めてお目にかかりますね。これは表面にホログラム加工を施すためなのでしょうか。結構コストが掛かっているのかも。
ブックレットは見開き3ページとなっています。曲目リストとオープニングテーマ「NO END NO WORLD」の歌詞と作中内で使われる曲「The Perfect Steel of ZERO」のコーラスの歌詞と外注スタッフの簡単なクレジットのみ。ファルコムサントラ恒例のシンプル・イズ・ベスト仕様ですね。最早ブックレットというよりはリーフレットみたいなものでしょう。そして他社のサントラには大体ある作曲者コメントは残念ながらありません。音楽に余計な説明は不要ですから。粛々と音に耳を傾ければ自ずと作曲者が伝えたいことがみえてくるはず。そしてやはり他社のサントラには当然あって然るべき曲別の作曲者クレジットもありません。自力で聴き分けてねっていうファルコムからのお題と思うことにしましょう。歌もの以外は曲別の演奏者クレジットもないですがこれは他社のサントラでも省かれている場合が結構あるので仕方なしですね。この辺りに関しては記事最後のほうで掘り下げていますのでご参考に。
次は音質について。前作イースIXは音圧がやや強め、低音も高音も過不足なく出ていてメリハリのある音質でした。まるで音像のブロックが眼前に迫るかのような迫真さでしたね。今回はというと普通でしょうか。イースIXみたいなパンチの効いたパワーはないですし重低音も少し引っ込んでいますが閃IIIみたいに大人しいこともなく閃IVみたいに仄暗く雑然とすることもなく普通に良い音質だと思います。ただ強奏時はやや荒れるときがありますかね。少なくともイースIXよりは落ちます。いずれにせよ細かく聴かなければ気にならないレベルです。
曲が終わってから次の曲に入るための余韻を味合うための曲と曲の間の余白時間は大体4、5秒となっていて適正ですね。ハイレゾ版は今回買っていないので閃I~IIIのように1秒なのか、それともイースVIIIのようにCD版と同等なのかは分かりません。試しにmoraの創の軌跡ハイレゾ配信ページの各トラックのタイムをCDと見比べたらハイレゾのほうが2秒ほど短いです。なので恐らくこれまでの閃I~IIIと同じ余白時間になっているかと思いますね。
あ、もちろんリピートはしてくれていません。脳内リピ余裕ってぐらい聴き込んでねってことなのでしょう。これはファルコムに限らず自分が他に贔屓いているガストもほぼリピートはしてくれてなくて(不思議シリーズ以降)とても残念です。良い曲はやはり一度ならずとも最低でも二度以上は続けて楽しみたいじゃないですか。もう一度再生ボタンを押せばいいのでは?ってのはお門違い。折角音楽に気持ちよく浸っているのだから分断されずに聴き続けたいんですよね。フェードアウト処理されてるのなら尚更です。
ちなみに今回フェードアウトせず終結部を持っているのはオープニングテーマを除くと「黎明の鐘」「ひとときの温もり」「レメディファンタジア -仲間とともに-」「Infinity Rage」「罪と罰と偽りと」「Heavy Violent Match」「The Perfect Steel of ZERO」でしたね。
さて、能書きはこれぐらいにしてFalcom Sound Team jdkによって作られた楽曲の感想にいきましょう。Spotifyの配信リンクはこちら(Vol.1、Vol.2、Vol.3)。個人的なお気に入り曲には★マークを付けてありますがもちろん付けていないからといって気に入っていないわけではないです。
#1.NO END NO WORLD -Opening Size- ★・・・今作のオープニングテーマとなる歌です。曲名はタワレコのスローガン「NO MUSIC NO LIFE」を彷彿とさせられますね。意訳すると”終わらない世界”って意味でしょうか。「未来は一人のものじゃないはずさ~♪」は今作のルートシステムを謳っているようにも受け取れる良い歌詞です。歌うのはjdkパフォーマー常連となった佐坂めぐみ嬢。芯の強い歌声なので歌詞に乗せた想いがダイレクトに伝わってくるのが美点。以前よりもさらに表現力を身に着けオープニングを飾るに相応しいボーカリストになったと言えます。そういえば東亰ザナドゥから続いた手描きアニメーションはなくなり自社制作による3Dアニメーションに。アニメOPだった閃IVと見比べるとお金が掛かっていない今作のほうがクオリティ高く見えてしまうのが皮肉なもの。やっぱりファルコムは無理して背伸びせず分相応の作りのほうが良いってことでしょうね。
#2.反攻の烽火 ★・・・初出はプロローグのイベントにて。個人的にはVII組の象徴たる紅いの奪還イベント曲としてのほうが印象に残っていますね。曲の前半、機敏に動く溌剌としたオーケストラの盛り上がりがストレートに格好よくて心躍り、そして戦いに思い馳せるかのようなサビには胸熱くさせられ余韻込めるようなアウトロの切なさがまた泣かせます。まさに反攻の狼煙となる烽火になりました。オーケストラを使うと大概はいかめしい重厚なサウンドになりがちですがでこうゆうふうに颯爽とした曲を持ってくるのは流石です。
#3.The Destination of FATE・・・曲名通りみんなの運命の行き先を決めてくれた曲。初っ端からこうゆうアガる曲を持ってくるんだからズルいです。そしてこの運命が向かった先は次の曲が流れる状況として立ち現れ、さらに「”運命”という名の歯車」として未来のクロスベルを占うことに。今作の柱となる曲のひとつでしょうね。
#4.Zero Break Battle・・・ある意味、起承転結の起と結を締めてくれたボス戦曲になりました。困難に立ち向かう彼ら彼女たちに相応しいドラマチックで勇壮な曲となっていてこの曲がクライマックスのあの場面でも流れることを思うとプロローグの時点から感慨深く聴いてしまいますね。オーケストラの表現力はスケールが大きくダイナミックさに秀でているのでそういった魅力を思う存分堪能出来る曲です。サビのストリングスの響きとブラスの咆哮には思わず胸が熱くなり万感胸に迫るほど。
#5.陽溜まりにただいまを ★・・・各チャプターの終わりやストーリーが円満に終わった際に流れる曲です。わだかまりが解け全てが浄化されたかのようにこの上なく天上的に響く音楽。清爽でロマンティックなメロディはひたすら心地良くてしみじみと耳を傾けてしまいます。暫しの休息は清らかで美しく、そして穏やかに、そんな陽だまりにただいまを。人と人との絆を確かめ合うあの場所に相応しい愛のこもった素敵な曲となりました。個人的にバラード系の曲ではこの曲が一番好きです。
#6.Long Awaited -Irregular Ver.-・・・終わりの始まり、全てはここから始まったエンディング曲。待ちに待ったこの瞬間のための爽やかな門出を祝うような曲なのに途中から運命の歯車が回り始めてしまい…。でも待ちに待った瞬間は遠くない、次に聴けるときが満を持してです。暫しそれまでのお預け。
#7.Crossbell Nostalgia ★・・・零「街角の風景」、碧「新たなる日常」、閃III「籠の中のクロスベル」に続くクロスベルを賑わす市内曲。聴き心地の良い清爽で流麗なサウンドとなっていてこの曲を聴きながらならクロスベルマラソンも苦じゃないですね。さらに曲名通りノスタルジックな雰囲気も漂っていてクロスベルのこれまでの積み重ねもそこはかとなく感じさせてくれる素敵な曲です。
#8.今宵は宴と参りましょう・・・そしてこちらがクロスベル市内の歓楽街で流れる曲。一応は零「Arc-en-ciel」や閃III「歓楽都市ラクウェル」の系譜を受け継ぐジャジーで艶やかな音楽になります。中間部のピアノソロが聴きものですがサビのメロディはなんだか宴といいますがさながら今宵はそのままホテルに参りましょう的なイヤらしさが滲み出ているような気がしないでもないですね。ある意味場所柄それで合ってはいますが。あとおまけで例の金ガチャ開封時にも流れます。やはりイヤらしい。
#9.Section G.F.S.Ⅱ・・・閃IV「シンクロニシティ #23」Ver.2。今回も前回同様にビビッドなテクノサウンドがナイスな仕上がり。薄暗いダンジョンだけど逆にノリのいいダンサブルな曲調というミスマッチさが快いですね。一体何回潜らされるんだっていうジオフロントですがこうゆうゴキゲンなサウンドに浸れるのなら探索も心弾みます。閃IIIのジオフロント曲「Unplanned Residue」のフレーズを引用しつつも小気味よく疾走するBメロ辺りが爽快で好きです。
#10.Aim A Gun at the Bullet・・・人形兵器などそういった対象によく使われていた記憶の中ボス戦曲。テクノチックなイントロも相まって熱気のぶつかり合いというよりはどちらかというと手練手管の限りを尽くしたようなテクニカルな戦いをイメージしました。曲名的にも意訳すると「銃で狙え」になるのなら尚更イメージ通り。小洒落た余韻を残すサビ終わりのサックスがこの曲の良さを引き立たせていますね。
#11.Right on The Mark・・・定番の戦闘勝利曲。こちらも意訳すると「的を得る」でしょうか。曲の並び順的に銃で狙って的を得たってことになるのならバッチリですね。個人的にこの曲を聴くと今作やたら力の入っていたノエルの官能的な勝利ポーズが頭に浮かんでしまいますがw それはともかく歴代戦闘勝利曲の零「これが俺たちの力だ!」、閃「この手で道を切り拓く!」、閃III「Youthful Victory」と比べると今作はどことなく軽やかでポップになった気がします。個人的には今作の曲が一番スマートで好きですね。
#12.黎明の鐘・・・悲願の再独立宣言準備段階時の曲。トランペットが高々に鳴り響き春風駘蕩にどこまでも平穏な曲となるはずでした。チェロのメロディ以降はまだ困難な道のりが待ち受けているかのような哀愁を感じ取れてしまい決して穏やかには聴けません。それでも決して屈しない勇気と満たされ満たされぬ淡い想い、そういった健気さを感じる余韻に聴き入ってしまいます。
#13.悪夢ふたたび・・・定番の緊迫曲その1。確かに彼らはあの場で対峙し緊迫する状況でした。ホルンが鳴ってもやるせなさが残りエレキの雄叫びは痛々しく響き渡り不穏さと切迫度は有頂天に。それでも決然と前に進むかのように踏みしめていく双方の譲らぬこの想い、といった感じでしょうか。
#14.Sword of Swords ★・・・今作やたら幾多もある中ボス戦曲のうちのひとつ。ライバル同士のバトル的な白熱した迸りを感じさせてくれるナイスな曲です。延々と謡い続けるヴァイオリンからはお互いの止まらぬ熱き想いを感じさせてくれました。サビへ雪崩込むようなパッションの迸りは聴いていて思わず手に汗握ります。個人的にはリィンルートのチャプター1で使われた場面が対戦相手だけあって印象深く残っていますね。
#15.Mysterious Element・・・事態が不穏に揺らめいたいときの異変曲その1。中間部で不気味に蠢くところはさながら深淵を覗いているかのようで事態の底しれぬ闇を感じさせます。地味で陰鬱とした曲ですが個人的に不思議と引き込まれる味わいのある曲ですね。
#16.Flash Your Fighting Spirit・・・主にフィールド上での汎用的中ボス戦曲として使われていました。まるでニワトリが鳴きながら駆け回っているかのようなエレキによるイントロがユニーク。これは目覚ましBGMとして効果てきめんなのではないでしょうか<コケコッコー! サビが鳴り止む間もなくやはりニワトリが踊り狂いフィーバータイム。何度も何度も聴かされた曲ですので今ではすっかりニワトリの真似が上手く出来るようになりました<コケコッコー! 曲名は意訳で「闘志を燃やせ」でしょうか。ニワトリがこんがりと焼けそうですね。そんな冗談はともかくとしてこちらもシンプルに格好良くてアガる曲です。サビでのエレキとヴァイオリンのハモリがまたエモいのです。
#17.LAPIS ★・・・曲名同様主にラピスが深く関わるシーンで使われていましたがそれ以外にも少しアレンジされてゲーム起動時に流れたりラピス以外の重要シーン、特に最後のあのシーンでも流れたりとある種今作のテーマ的な曲でもありました。ガラス細工のように触れたら壊れてしまいそうな儚さに満ちた曲ですがたおやかで切なさと暖かみもありそれでいて後半では躍動感も感じさせられる…、改めてピアノのオーケストラにも勝る奥深い表現力を思い知らされます。そういった曲の後半に向けての生命力の高まりは彼女のあの展開を思えば必然的な流れでしたね。
#18.亡失われた魂・・・東西クロスベル街道やウルスラ間道で使われたいわゆる今作における街道曲です。いきなりの重々しく虚ろに響くイントロがなんとも印象的。そのあとも見通しは開けずまるで曇天のように灰色の情景が広がるのみ。暗中模索しながらも新たな壁にひたむきに立ち向かうさまを勇ましくも悲壮に描いているかのよう。でも鼓舞するように沸き立つベースは力強くてサビの切実なメロディは心に響きます。実はこのメロディはタイトル画面曲「今、創まりのとき」を引用しているのですがそういった意味でもなんとも言えない意味深さがありますね。初出は彼と彼女のシーンからでしたが確かにあそこから再び彼の反骨精神が創まりました。そのあとも色々な街道で汎用的に使われていてメインとなる街道曲となりましたね。
#19.Stand Up Again and Again !・・・零「Get Over The Barrier!」、碧「Seize The Truth!」の魂を継いだロイドルート通常戦闘曲。やはり熱血漢ロイドたちにはこの粘っこくも暑苦しい(褒めてます)曲調がうってつけ。しなやかさの中に決然とした情熱をみせるストリングスにグッと心奪われこぶしを利かせるように唸るエレキにも胸が熱くなります。何度も何度も立ち上がるロイドたち、ひいてはクロスベル自体をも象徴するようなこれ以上ないガッツ溢れる戦闘曲でしょう。
#20.ひとときの温もり ★・・・毎作欠かさずある恒例のアコギでうららかに奏でられる曲です。基本は村の中で流れる曲ですが暖かなイベントシーンでもよく流れていて素朴で寄り添うような優しい響きはそういったシーンで心地よく耳に語りかけてくれました。ただどことなく今回は寂しさ成分が上回っているように聴こえ流れる度にちょっと切なくなったりも。なんだか少し孤独を感じてしまいますね。穿った見方ですが村社会や人間の奥に潜む寂寥とした侘しさも表現しているのかもしれません。
#21.Like a Whirlwind ★・・・リィンルートでは凝縮された熱気が颯爽と駆け抜ける痛快極まりない最高の通常戦闘曲が待っていました。メロディ的にもアレンジ的にも閃IV「Burning Throb」の魂を受け継いだ曲になりますね。のっけから早くも沸き立つAメロ、中間部ではピアノ、チェロへとしなやかに歌いホットな余韻を残したあと一気呵成にサビへ雪崩込む展開は胸に迫ります。サビからは意気揚々とした余裕が垣間見えリィンたちの精強さを伺わせられますね。そんなサビが立て続けに響き渡るとさらに無類の熱い高揚を感じられまさに曲名通り疾風迅雷の勢い。大いに燃え上がらせてくれます。一連のスケール大きくドラマティックな幾多の冒険をくぐり抜けた彼ら彼女たちに相応しい風格を備えたとびきりの戦闘曲といえましょう。
#22.レメディファンタジア -仲間とともに-・・・閃III「レメディファンタジア」のアレンジ。最早エリオットのテーマ曲みたいなものでしょうか。初出はエリオットと再会したときのミニ演奏会。原曲はソロのヴァイオリン曲でしたが今回は重奏アレンジされていてそれだけたくさんの友情がこれまでに育まれてきたのかと思うと嬉しくも頼もしいですね。音楽が運んだ絆と言いますか束の間の和やかな調べには聴いていて頬が緩みます。
#23.Crossing Causal Lines・・・今作の目玉要素たるクロスストーリーのメニュー画面曲。アンビエント調のテクノサウンドとなっていてこの何色にも染まっていないサウンドカラーがプレイヤーにはまだ真っ白なこれから待ち受けるストーリーに相応しいといえるのではないでしょうか。アップテンポに音符が舞い踊りスリリングに絡み合う様子はジェットコースター展開が多い軌跡シリーズらしくもあります。
#24.創まりの円庭 ★・・・今作において全ての中心となった場所の曲。イントロのチャイムのような響きと天からの声が合わさるとなんとも言えない虚ろな移ろいを感じたものです。静謐で淡々としつつも切なく盛り上げてくれる曲調ですがこの場所だからこその黙々とした作業や会話を妨げない節度あるサウンドに仕上がっているのは流石の塩梅。「Crossing Causal Lines」同様にどちらかというと淡くニュートラルな色合いになっているのがまだ見ぬ冒険の創まりを予感させます。
#25.Glittering Mirage ★・・・やはりこちらも目玉要素、夢幻回廊フィールドでの曲となります。綺羅びやかな蜃気楼という曲名通り鮮やかなシンセサウンドがとても聴き心地良くて探索欲の向上に一役も二役も買ってくれました。あまり主張が強すぎないメロディラインになっているのも人によっては何十時間と聴き続けることになるかもしれないこの場所の曲としてはうってつけ。それでいてリズム隊はしっかり力強くて鼓舞させることも欠かせません。求められる状況に適した理想的な曲といえるでしょうね。個人的に堅牢な造形の中に儚げさと憧憬する想いが感じられてとても好きな曲です。曲の終わりのほうではまるで降り注ぐ光の中に手を伸ばしてなにかを掴み取ろうとするかのような、そんな情景が目に浮かびました。噛めば噛むほど味わいが出るようなタイプの曲だと思います。
#26.Infinity Rage・・・創の軌跡の公式動画にて一番最初に流れた曲のはず。当時はシューティングのミニゲームがフィーチャーされてたこともあっててっきりそのミニゲーム内で使われる曲かと思っていたものでした。イントロからファルコムらしいクサメロ感放出。ギンギンギラギラにエレキが唸りシンセも鮮やかに飛び交い丁々発止のせめぎ合いを楽しめます。展開も起伏に富んでいて雑魚戦を大いに盛り上げてくれましたね。こちらはファンがファルコムに求める要素全部盛りといったところでしょうか。こんなアガる曲なら曲名通り無限に夢幻回廊で暴れられますね。
#27.Wind-Up Yesterday ! ★・・・話題を呼んだCルートの通常戦闘曲がこちら。真新しい新キャラには新サウンドスタッフによる新曲で新たな息吹を。優美に奏でられるピアノから紡がれるサウンドは実にエレガントでしなやか。このピアノの音が曲全体を支配していて魅惑のスタイリッシュさを印象付けてくれました。エレキとドラムは決して威圧せず軽快に熱気を刻んで合間を彩るシンセは瑞々しい詩情を加えてゆく…、さながら蒼穹の空のもと妖精のように駆け抜けるようで曲者揃いの彼ら彼女たちにこの上ない相応しさでしょう。これまでの軌跡シリーズ伝統?ともいうべきソフィスティケートな戦闘曲サウンドを受け継いだ曲でもありますね。ところでこの曲名はどう訳すのでしょう?Wind-Upとは巻き上げるか終わりにするとかの意味合いがあるみたいですが。昨日を巻いてけ?それともそのまま訳して昨日の風を起こす?さすがにこの独創的な曲名には海外のネイティブスピーカーなファルコムファンも苦笑の模様。
#28.Purgatory Scream・・・煉獄の悲鳴という禍々しい曲名通り幻獣などそういったおぞましい相手との戦いでよく使われていたボス戦曲です。ロック曲が多い今作の戦闘曲ですがこちらは正統派の王道を征くオーケストラサウンドで威圧するように咆哮。そしてエレキもこぶしを利かせてアピール。エネルギッシュなパワーが豪放に大地に響き渡り血湧き肉躍る戦いを演出してくれました。
#29.NO END NO WORLD・・・オープニングテーマのフルバージョンです。新たに聴けるようになった間奏ではエレキと近年のファルコムサウンドでは常連となった楽器のサックスが華麗に饗宴。良い曲とそして良い歌声をたっぷり堪能しましょう。
#01.蒼の大地に生きる者・・・今回久々に駆け回れるようになったノルド高原。閃時代のノルド曲「蒼穹の大地」と比べると余裕ある表情になったのが物語を幾つも織りなしてきたみんなやシリーズ自体の熟成ぶりが伺えます(反面曲名は野暮ったくなりましたが)。それでいてノルドの大地らしく牧歌的ながらも力強い輝かしさを失っていないのも素敵です。しかし今作は以前とは比べ物にならないぐらいフィールドが広大になったので必然的にずっと聴き続けることに。でもこうゆう聴き心地の良いサウンドになってくれたので長時間の探索も苦じゃなかったですね。
#02.Stake Everything Strategy ★・・・とある軍の侵攻とVII組の反攻時などで流れた近年お馴染みとなった交戦イベント系の曲です。他にボス戦曲としても何度か使われましたね。奪還イベント曲「反攻の烽火」と同様に沸き立つような熱気の迸りが実にエキサイティング。あちらはパーカスでしたがこちらではギターで沸き立たせてくれて聴いていて思わず手に汗握ります。それでいてサビに向けて勇壮な胸の高鳴りも感じさせてくれるストレートな格好良さも魅せてくれます。サビ部分のストリングスとブラスのハーモニーなどはエモさの極みでしょう。最初から最後まではち切れんばかりのハイテンションで駆け抜ける実にファンタスティックなオーケストラ!ブラボーです!
#03.流麗闘冴・・・対人場面でよく使われていた印象の中ボス戦曲。コロコロと掛け合うようなイントロこそキャッチーですが主部は流麗にうねる情熱の迸りが聴かれます。ヴァイオリンのメロディの節々に聴かれる軋みがお互いのぶつかり合う火花をあらわしているかのようで面白い試み。ヴァイオリンとエレキ、双方決して引かぬ闘志の牙という感じでしょうか。
#04.鈍色に這う・・・どこかオリエンタルなサウンドが魅力的で初出で使われた古戦場という幽世的な場面にはぴったり。ちょっとドライで響きの多い独特のサウンドも場所柄、効果的に働いていました。サビ前の少し思い耽るようにたおやかに歌うチェロの部分が味わい深くて聴き入りアンビエントに木霊するパーカッションも幻想的な雰囲気を盛り上げてくれます。古戦場の他にも地下貨物路線、監視塔、マインツのトンネル道などダンジョン系フィールド曲として使われていて使用頻度は多いほうでしたね。
#05.Be Caught Up !・・・人によっては戦闘時に聴くことは叶わずずっとお助け系のイベント曲と思うことになる曲です(実際自分もそうでした)。でも捕まえろ!という曲名からメインはやはりイベント用なんでしょうか。それはともかく劣勢時の戦闘曲というと閃「Impatient」「劣勢を挽回せよ!」などのように粘り腰でズンドコした曲というイメージがありましてサントラでも正直あまり聴きたいという感じにはならないのですけど今回はひたむきさがありながらもお洒落にキマっているのが特徴。間奏部のベースとサックスがこれまた魅惑的。サビはエールを送るように歌い上げてゆく。これなら劣勢になっても調子狂うことはないですね。逆に言うとこれまでの中ボス戦曲と比べてもあまり差異はないですが。
#06.Breeding Innumerable Arms・・・某兵器工場にて使われた曲。ゲームの進行上この曲のイントロをやたら聴かされてしまいました。正直あの辺りのギミックはチグハグしていたようにも。それはともかく場所が工場だけあってメカニカルでテクニカルなシンセサウンドで埋め尽くされていてあの場らしい雰囲気を作ってくれました。それでいてアンビエントに終始したりはせずサビはきっちり歌ってくれてファルコムらしさも失っていません。
#07.Pyro Labyrinth・・・とある工場からトンズラするときに流れた曲です。脱出までの制限時間が設定されていたので焦らされました。余裕はあったとはいえこの手のギミックは昔から苦手ですね…。曲はけばけばしく弾け散らすエレキやシンセが燃え盛るメカメカしいあの場所の雰囲気を醸し出していて早めのテンポも相まって焦燥感を焚きつけさせます。ちなみにPyroとは焦げ付いたという意味があってまさに曲名通り。さらにパーカッションも尻に火を付けるかのように血気盛んに荒ぶっていてスリリング。文字通り早くこの曲から抜け出したくなるほど切羽詰まらされて狙い通りでしょうか。でも曲は手練手管色々な演出が施されているので抜け出したくないほど病みつきになる面白さです。
#08.影の見えざる手・・・汎用的な異変・異常事態曲です。リバーブを深く利かせたドラムとピアノが曲を支配、どこか小洒落た雰囲気が特徴的で異変に遭遇しても気取った感じなのが幾多も修羅場を掻い潜り抜けすっかり精強になった彼ら彼女達らしくもあります。ある意味永遠の厨二病な彼ら彼女たちに相応しい格好つけたクールさともいいますか。それでも思索するかのようなサビのメロディからはまだ思い悩む年頃のメンバーの溜息が聴こえてきそうです。
#09.Raindrops With The Wind ★・・・暖かかったり泣けたりとここぞというときによく流れていて一連のシリアスイベントの中では聴く頻度は高かった曲。今作のそういった叙情面を受け持っていましたね。ただ自分の中では初出となった二人の混浴曲という印象が強いのですがw ピアノ、フルート、ストリングスのみというシンプルな構成となっていますが小編成なだけによりダイレクトに想いは伝わってきます。ポップスライクなメロディラインもとても明快。シーンと共に記憶に残りやすいこともあってバラード系では結構人気の曲になっているのではないでしょうか。自分も大好きな曲です。
#10.罪と罰と偽りと・・・重めのシリアスシーンで使われていた曲。聴いているだけでズーンという物悲しい気持ちになります…。そうゆうわけで正直なところどんよりした面持ちで見て聴いていたので意外と記憶には残りづらかったりします。やっぱり人間、辛いシーンは一刻も早く忘れたくなるんですよね。でも希望の光が見えようとしているような後半のメロディは心に沁み入ります。
#11.Slight Suspicion・・・異変イベントや調査シーンでよく使われていて閃IV「潜入調査」に位置する曲ですね。水泡のようにポコポコと鳴る音が事態の奇怪さを表しているかのようで面白い表現です。
#12.木霊の道 -創Ver.-・・・閃IIIからおなじみとなった「-○Ver.-」シリーズ。今回リファイン元として選ばれたのはマインツ山道曲となる零「木霊の道」。そのまま使い回す方法もあったと思いますが結構もう古いサウンドになっているので手を入れたくなったのでしょう。原曲と比べて色鮮やかさが減少した分、山の空気感や茫洋さ、自然の静謐さが醸し出されていてよりいっそう山道の雰囲気が増したように思います。足し過ぎず引き過ぎず、旧曲ファンも納得のいく良い塩梅となっているのではないでしょうか。
#13.Hide And Seek By Myself・・・遂に入ることが叶ったローゼンベルグ人形工房内のダンジョン曲です。ただイベントが挟まる度に別ルートの「Breeding Innumerable Arms」と盛んにスイッチされて流されていたのでやたらイントロだけ聴く機会が多かったですが。人形工房での曲ということでやはり面妖でおどろおどろしさがありどこか神妙な面持ちにさせてくれるような曲調。後半に向けてひたすらメロディがリフレインされていくとどこか浮遊するような不思議な感覚に襲われ感興をそそられます。それでいて強靭に打ち込まれるドラムと絶えず鳴り響くシンバル、ベースは鼓舞するように熱く盛り上げてくれて士気も高めてくれました。キャッチーな特色がある曲ではないですがどこか非現実感があり抗えない魅力のある曲。そしてこの曲名は後半待ち受けるあの展開を思うと意味深いです。
#14.鉱山町マインツ -創Ver.-・・・今作2つ目となる零の軌跡同名曲からのアレンジ。とはいえやはり基本的にアコギがサウダージに響き渡るサウンドなのは変わらずですが新アレンジのほうがよりインティメイトな雰囲気になってしっとりとしていますね。ギターも巧みになりつつも手触り感も増して柔和で繊細。どっぷりと暖かいサウンドに浸かれるようになりました。
#15.昏き鐘の残響・・・入り組んだ構造と辛気臭さと敵の厄介さから恐らく苦手な人は多いと思われる月の僧院の曲です。ただ以前のようなクォータービュー時代から比べると攻略はしやすくなりましたけどね。音楽は薄暗いダンジョンに相応しくパーカッションが木霊するアンビエント成分多めな曲になっていてプレイをいたずらに邪魔しない良い意味での印象の薄い仕上がりです。零時代の僧院曲「鳴るはずのない鐘」と比べて大人しくなりましたがそれだけみんなががむしゃらになる必要がないほど大人になったってことなのでしょう。
#16.激烈!撃滅!ミシュナイダー !!・・・曲名からお察しの通り軌跡シリーズのマスコットといえば…との戦闘曲です。一体どうしてこうなったというシチュエーションですがあれでも真面目なのですよきっと。というわけで音楽もふざけた曲名に相応しく支離滅裂に乱痴気騒ぎ起こしています。
#17.Maliciousness in The Mirror ★・・・そろそろあそこは取り壊したほうがいいのではという例によってまたしても呪われてしまった鏡の城。それはともかく神秘的な異彩を放つあの場所に相応しい幻想的な雰囲気に包ませてくれる曲です。それでいて切なくも奮い立たせる高揚感があって彼との対峙が迫っていることも予感させてくれますね。使われるのが終盤ということもあり小粒ながらもどことなくラスダン感を感じさせられもした印象深い曲です。
#18.NO END NO WORLD -Instrumental Ver.-・・・オープニングテーマのインストバージョンです。佐坂嬢の歌はピアノやサックス、エレキに置き換わっていて別の切り口で盛り上げてくれます。ひとつの曲でボーカリストによる歌と楽器による歌、両方楽しめるのはお得ですね。
#19.零の邂逅 ★・・・いわゆる外の理との対峙時によく使われた曲ですがプロローグの後日談的なシーンでも流れました。確かに意味のある使用タイミングでしたね。神秘的なサウンドの中に静謐な表情や沈潜とした表情、そして崇高さも漂いそういったシーンに相応しいサウンドとなっていて今作の超常的な部分を一手に受け持った曲でもあります。無垢で清楚な響きのコーラスには感銘を受けそのあとのピアノによる憂いを帯びた深い響きのメロディには胸を打ちます。心が洗われるように浄化される実に美しく儚く深い音楽。このような素晴らしい音楽が生まれそして出会えたことに最大限の感謝を。
#20.さざめきの途路・・・アルモリカ古道やノックス森林道で使われた街道曲。重圧がのしかかるような「亡失われた魂」と違いこちらはチャーミングなイントロが印象的で主部も軽快。あの辺りの街道らしく青空のもと意気揚々と駆けていくかのようで心弾みますがでもそこはかとなく拭い切れない悲壮感も漂っていて今作の展開を物語っていますね。
#21.Twilight Hermitage・・・あの拘置所内の曲ですね。普通は牢屋というと陰鬱とした埃っぽい曲になりそうなものですがそこはファルコム、プレイを妨害するぐらいに音楽がこれでもかと主張してきます。地の底から黒光りしたエネルギーを放出するエレキ、乱れ咲くように打ち鳴らされるドラム、そこに流れ込むメロディアスなシンセの彩り。なるほどこの場に求められる音楽とはこうゆうものだと強く納得させられました。思い込みや価値観の逆転勝利ですね。エルミタージュ=隠れ家という名前を付けるセンスにも乾杯。
#22.Heavy Violent Match・・・スウィン・ナーディアと因縁深いあのキャラと、そしてリィンたちと腐れ縁ともなってきたあのキャラと、さらに夢幻回廊拠点の要素となる試練の扉での戦いと、スペシャルな戦闘曲となっています。まさに悪役が出てくるかのようなおどろおどろしいイントロを経てそのあともお互い虎視眈々と獲物を見定めているかのよう。合間を彩るチェンバロがまた妖しげなムードを演出してくれます。じわりじわりと丁々発止のぶつかり合いを予感させながら遂にエレキが鋭く切り込みキックは踏み鳴らされボルテージは最高潮へ。両者譲らぬ熱き血潮が火を吹きつばぜり合いの接戦を盛り上げてくれました。最近は打ち込みのエレキも本物と見紛うほどエモーショナルに響きますがやはり人の情熱が込められた演奏には叶いませんね。
#23.今、創まりのとき・・・今作のタイトル画面曲は力強くも儚さを感じさせる曲となりました。想い悩むも真っ直ぐひた走るかのような音楽にはそれぞれの想いが凝縮されていそうで色々と感慨深く聴いてしまいますね。そう、この曲から全ては創まっていきました。サビ後の余韻を込めつつも跳ねるようなフレーズに皆の決然とした強い意志の現れを感じます。
#24.Invisible Hilly Country ★・・・夢幻回廊内のギミックのひとつ、幻想丘陵というフィールド上での曲になります。個人的にイントロから続くリズムと音色はどことなく空の軌跡the3rd「動かぬ世界」を彷彿させられましたが今作はある意味the3rdと似たテイストを持つ作品なのでもしかして使用場面を意識しての曲作りなのかなとも思いましたが果たして。それはともかく曲は軽快なテクノポップという趣きがあって爽快。ああゆうシチュエーションだとどうしてもミステリアス系に寄った曲調になりそうなものですが敢えてこうゆう軽めの曲にしたセンスはナイスですね。
#25.Emergency Order・・・夢幻回廊の最奥で戦うことになるボス戦曲ですが緊急指令という曲名通りボス戦の他にスクランブルレイド戦でも使われました。タッタカタッタカとスネアがけたたましく鳴るイントロから最初聴いたときはオーケストラ調でくるのかと思わせられましたがやはりロックで攻めてきました。裏でこっそりと鳴っているギターの響きがこの場所だからこその怪しげな雰囲気を醸し出していて面白いアイディアです。
#26.Golden Fever ★・・・幻想丘陵同様に夢幻回廊中に偶に現れるボーナスステージの曲。クールで疾走感のあるテクノに仕上がっていてとてもゴキゲンなサウンドです。ダンサブルなサビは思わずリズムを取って踊り出したくなっちゃいますね。このままクラブとかで流しても違和感無さそうな完成度です。個人的なイメージとしては「Invisible Hilly Country」がメジャーコードでどことなく和テイストを感じるのに対しこちらはマイナーコードの洋テイストでしょうか。似た者同士の曲ですがどちらが好みかと言われたら難しくてどちらも好きとしか言いようがないです。
#27.POM's Paradise ★・・・夢幻回廊、そこにポムたちの楽園はありました。相手に相応しく軽快で愉悦に満ちた曲調になっていて耳を楽しませてくれます。それでいて小洒落たジャズ調になっているのも粋な図らい。カラッとしたブラスの響きも快くさながらビッグバンドによる陽気な演奏を聴いているかのよう。カジュアルなサウンドに合わせポムたちに翻弄されながらもリラックスしたバトルを楽しみましょうか。
#28.Bad Dream Invasion・・・夢幻回廊最奥で戦うことになるボス戦曲その2です。「Emergency Order」はスネアによるイントロが印象的でしたがこちらはメカニカルなボイスが印象的。一方はギターにより妖しげなムードを醸し出し、方やこちらはロボボイスがその役割を担っているのでしょうか。ロックンロールしていてもいびつに捻くれていていかにも夢幻回廊内のボス戦といった趣きの曲です。
#01.暗澹たる世界・・・「悪夢ふたたび」に続いて定番の緊迫した場面で流れる曲その2。最序盤から早くも流れていましたが今作も御多分に洩れず緊張を強いる展開の連続なので聴いた機会は最も多い曲かもしれませんね。世界にとってはほんとは流れないほうがいい曲なんです。それでも勇壮にホルンが響き渡る後半になると否応なしに熱き万感の想いが頭を駆け回ります。そして「悪夢ふたたび」にはあった最後スタッカートで跳ねる強奏がありません。世界は暗澹たる雲行きのまま。
#02.The Road to All-Out War ★・・・いわゆる各種逆転劇イベントの他に最終作戦開始、つまり全面戦争突入時にも流れた曲です。力強いイントロからして痛快。Bメロの清々しさは心地よくサビ後のアウトロでは晴れやかな余韻が地平線彼方まで響き渡るかのよう。みんなの起死回生を輝かしく盛り上げてくれました。最終作戦開始後、そのあとの自由行動時と戦闘時でもシームレスに流れ続けて高揚したテンションをキープ。常に熱気ムンムン立ち昇り、普通の会話時にはさすがにちょっと喧しいですがその喧しさが常に賑々しくも熱い太陽のような彼ら彼女たちらしくもあるのでしょう。
#03.ひとかけらの光明 ★・・・いわゆるシリアス系のイベントでよく流れていた曲。そういったシーンでは「Raindrops With The Wind」同様に流れる頻度が高かった曲ですね。切なくも悲しくそれでいてどこかひたむきな強い意志を感じる音楽。ピアノとヴァイオリンのみのシンプルな曲ですがやはり編成が最小限な分、想いがダイレクトに伝わってくる良さがあります。思う存分にヴァイオリンが歌い上げたあと可憐に跳ねるようなピチカートが効果的。一本調子にならない良いアクセントです。彼女の心情が痛切に歌い上げられた良い曲です。
#04.KERAUNOS -Fear and Hatred-・・・閃III「巨イナル黄昏」、閃IV「千年要塞」に続く定番の恐るべき驚異の出現曲。こうゆう曲が流れ始めるといよいよクライマックスが近いのを実感しますね。ちなみに「KERAUNOS」とは古代ギリシア神話の神、ゼウスの別名らしいです。雷光という意味もあるようでなるほどあの展開を思うと頷ける曲名ですね。そして恐れと憎しみを指すのはあのシーン…。
#05.運命という名の歯車・・・チャプター4にてリィンたちが真実の一端に触れたときに、そしてラスダン出現後のイベント、それを受けてのクロスベル市内のフィールド曲にもなりました。この段階で「The Destination of FATE」が引用されることの意味を思うと感慨深く聴いてしまいますね。プロローグのときとは違う状況ですが運命という名の歯車はあの時から回っていました。前半こそは重苦しく沈痛な雰囲気が支配しており左右から聴こえるシンセ音がいっそう侘しさを加速させますが徐々にみんなの闘志が静かに沸き立ってくるような、暗中模索しながらも一筋の光が差してくるかのような後半の展開は心に沁み入ります。
#06.Reverse Babel ★・・・いわゆる今作のラスダン曲です。ラスダンだからといって血湧き肉躍るような勇ましい曲調ではなく静かな闘志を秘めたような曲になっているのがニクいですね。そんな荘厳さで早る気持ちを落ち着かせるも徐々に抑えきれない熱気が沸き立って昂ぶりをみせてくる展開は堪えられません。全てのクライマックスが近づいていることを如実に感じさせてくれました。ラスダン曲としては地味かもしれませんがこれは中々の滋味豊かな名曲だと思いますよ。
#07.The Perfect Steel of ZERO・・・創の軌跡予告動画でも一部流れましたね。本編での初出はとある騎神の初登場シーンでメインの使いどころはクライマックスを飾る戦い、つまりラスボス戦の曲です。オルフの「カルミナ・ブラーナ」を彷彿とさせるコーラスの猛々しい咆哮を含んだ壮大な曲調はありがちといえばありがちですが意外とこれまであまりなかったですね。相手に相応しく尋常ならざる壮絶なサウンドで畏怖させてきますが後半から奮い立たせるように勇ましく盛り上がっていく展開がドラマティックで実にファンタスティック。このダイナミックさこそオーケストラ&コーラスサウンドの醍醐味でしょう。
#08.優しさを未来に託して ★・・・もう一つの因果との対峙や彼の自暴自棄を救う際に流れた曲です。色々とやり切れない気持ちで想いが込み上げてきますが人と人との繋がりがまさに未来に繋がっていきましたね。そんな切なくも優しいシーンを彩ってくれた素敵な音楽です。時を感じさせるオルゴール、優しく語りかけるピアノとヴァイオリン、そして讃歌のように響くコーラス、全てが優しい世界、そして託されるこの想い。
#09.Life Goes On ★・・・あれからの後日談も余韻を込めて。色々とありましたがそれでもみんなの人生は続いていく、そんなロマンティックな気分にさせてくれました。この曲も本当にメロディとアレンジが素晴らしくてリリカルでポエジーな魅力に溢れています。切なくも美しく燃え上がるサビの部分が特に好きです。「優しさを未来に託して」同様に溜息が出るほどに美しい天上の調べ。こんな音楽を聴きながらプレイ出来たのだからほんと幸せでしたね。
#10.高らかに、誇らしく ★・・・ユーモラスに響くコントラファゴットのイントロを明けるとみんなが乗り越えた先に晴れやかな未来が待っていました。溌剌とした高揚感に溢れる曲でさながらはにかむ彼にエールを送っているかのよう。ついつい微笑ましくもみんなの笑顔が嬉しいあのシーンを思い出してしまいます。一連の「優しさを未来に託して」から始まるこれらエピローグ3曲は尽く自分の琴線に触れさせてくる素晴らしい音楽でした。深い感動を届けてくれましたね。
#11.キセキの旅路・・・今回は歌ものはOPだけ、EDはインストゥルメンタル曲になりました。個人的には歌詞という決められた情報が与えられる歌ものよりこういったインスト曲のほうがプレイヤーの想像を掻き立てられ感慨に浸らせてくれて好きですね。予算の都合かスケジュールの都合か分かりませんがこうゆうかたちにしてくれたファルコムの英断に感謝です。
#12.鋼鉄牙城 ★・・・VII組といえばあの…っていうお馴染みの施設で使われる曲ですが実は本編ではお預け。曲自体も前半で溜めてから後半で一気にエモいメロディが流れ込む展開で使用場面同様焦らしプレイをしてくれましたね。曲調的にはある意味「Section G.F.S. Ⅱ」オルタナティブVer.といいますか、こっちがジオフロント曲だったとしても違和感はあまりありません。どちらも同じメカメカしいダンジョンですし似るのも必然的かもしれませんね。個人的にこの曲のサビのメロディラインはとても好きです。シンプルに高まります。
#13.穏やかな時間・・・エピソード内においてまさに穏やかなシーンで使われていたどこまでも平穏で安らぐ音楽です。アコーディオンの侘しい音色がまた心地良いですね。あの大陸にこのような波風の立たない平和な音楽がずっと流れ続けられる日が来るといいのですが。使用機会は少なかった曲ですがAメロからどことなく東洋的なメロディを感じたのもあって結構印象に残っています。正直今作の曲の方向性からは若干浮いていたような気がしないでもないですけどね。次作に噂されている共和国編の曲としたらフィットしたかもしれません。
#14.Something Luxury…?・・・初出は裏通りの名物おばさん初登場時。図らずしもある意味彼女のテーマ曲になってしまいました。他には「軌跡でポン!」のタイトル画面曲として、さらにエピソード内であの人の音頭?としても流れましたね。曲自体はお洒落なジャズなのですが初出時のインパクトと音頭のせいで自分の中ではコミカル系の曲に属してしまいました。合間にカッー!っとアクセントを添えるビブラスラップは効果的ですがどちらかというとバラエティ的なイメージが付きまといますね。とはいえアダルティな大人の色気を感じる官能的なサウンドはムード満点。このセクシーさは抗いがたい魅力。曲名通り贅沢かは分かりませんが偶にはこうゆう息抜きも良いです。
#15.Challenger Invigorated・・・エピソード内にあった活気あふれる挑戦者たちがしのぎを削る武術大会を盛り上げてくれた曲です。もしかして使用されたのはあのシーンだけでしょうか。1シーン1曲だけってのもあり得る今作の贅沢な音楽の使い方のひとつですね。イントロから鳴り続ける峻厳なストリングスの動きとしなやかなヴァイオリンのコントラスト、後半のトイピアノで少しセンチに振り返るかのような展開が良いですね。使用場面は限られますが意外と耳に残る曲です。それだけメロディが立っているという証でもあるのでしょう。
#16.このあと美味しくいただきました ★・・・ミニゲームのスイカ割りの曲です。ユニークな曲名はTV番組とかでよくある「このあとスタッフが美味しくいただきました」が元ネタでしょうね。真夏の燦々とした日差しを感じる陽気で楽しい曲に仕上がっているのがナイス。束の間のエンジョイ気分に相応しい曲になりました。賑々しいサビを挟むAメロとアウトロの余韻込めたメロディが情緒あって特に好きですね。しかしスイカ割りとはフィクションの海水浴ではド定番過ぎて逆に今どきやらないようなネタなので新鮮でした。
#17.波間に弾む心 ★・・・こちらもミニゲーム曲。バナナボートに乗ってるときの曲となります。トロピカルな場面に相応しく愉悦感あふれるゴキゲンなサウンドとなっていて切なくも爽やかなピアノのメロディライン、涼やかな音色のシンセ、そしてハモンドオルガンの音色も素敵でマリンスポーツ感をバッチリ演出。心弾ませてくれました。あのシチュエーションでしか流れないのがちょっと勿体ないぐらいの良い曲でしたね。
#18.Twinkle Attack・・・ユウナたち正気か?いやむしろファルコム正気か?と言わざるを得ないあの一連のイベントからの「魔法少女まじかる☆アリサ」ステージ曲。いや決してコスプレもののキャラクターショーではないはずです。しかしまさか王道RPG内で3Dシューティングをする羽目になるとは思いも寄らなかったですね…。ま、是非はともかくとして音楽はシューティング的なサウンドに…いやそうゆうわけでもなくいつものノリでしょうか。空を切り裂くようにシンセが切り込みコーラスが壮大に盛り上げそしてサビではロックンロールな熱情も感じられてシチュエーションとは裏腹に曲はエキサイティングなノリで楽しませてくれます。
#19.Rapid Wind ★・・・使い所としては機甲兵シミュレーターの「プロジェクト・ティルフィング」がメインでしょうか、他にまじかる☆アリサのステージ曲としても使われました。イントロからラテンのノリで活気づいて主部もお洒落にキメてきます。重々しいはずの機甲兵ですが曲はスタイリッシュに軽快に楽しませてくれますね。Rapidだけあってアップテンポに捲し立てるスネアが小刻み良く痛快なグルーヴを生み出していてサビ前の音階駆け上がっていくところが特に最高です。
#20.Magical Revolt・・・まじかる☆アリサの最終ステージ曲。ご丁寧にステージ毎に曲まで変化していて一体どんな本気の使い方なんでしょう。まじかるたちの反乱という曲名もあってかシンセサウンドから一転してオーケストラがアグレッシブ且つ壮大に響き渡る曲となっていて彼女たちの活躍に華を添えて盛り上げてくれました。合間に断続的に鳴り響く銅鑼が熱戦を彩る良いスパイス。サビのメロディラインもそのまま歌になってしまいそうなエモさ。こういったミニゲームの曲だからといって決して抜かりはないです。彼女たち同様に音楽も本気。
#21.Roar of Evil Spirits・・・そして最後に控えるはまじかる☆アリサのボス戦曲。威風堂々と勇ましい軍楽調の音楽となっていますが忙しなく様変わりする展開がボス戦の逼迫感を演出してくれます。合間の儀式を司っているかのような妖しげなコーラスも効果的。まさに悪霊の咆哮でしょうか。しかしアプデ前はこれほんとにEASY難易度か?ってぐらい敵が固くて一向にゲームが終わらず苦しみましたね。幸いアプデで適正な難易度に調整してくれましたが。それまでは延々と聴き続けることになっていた苦い思い出の曲でもあります。ちなみにこれらのミニゲーム曲はサントラ3枚目最後のほうに全部纏められていて同じくミニゲーム曲がたくさんあった空the3rdと似た構成になっています。いっそ下の2曲を押し上げて本当に最後の方に位置する構成にしたほうが曲の流れ的には良いような気もしますがどうでしょう。
#22.夢幻の彼方へ ★・・・追加アップデートで出現したある意味真のラスダン音楽は夢幻回廊のアップテンポなシンセサウンドとはうって変わって桃源的で侘しい雰囲気に満ち溢れた曲になりました。物憂げにメロディを紡ぐヴァイオリン、これまでを振り返るようにノスタルジックに響くBメロ、そして感傷を振り切り決然と高揚していくかのように情熱渦巻くサビ。壮大の最後の旅路を彩るに相応しい深い余韻を味合わせてくれる曲です。まさに夢幻の彼方へいざなってくれました。実質的なサントラ最後の音楽を飾るに相応しい音楽的にも深みのある素晴らしい曲だと思います。
#23.Long Awaited ★・・・遂に邪念(ノイズ)から開放されて爽やかなメロディが晴れ渡る空に響き渡ります。待ちに待った最高の瞬間はリスナーの耳に委ねられました。一度ならず二度味わいましょう。
#24.NO END NO WORLD –Less Vocal Ver.-・・・オープニングテーマのボーカルだけをミュートにしたバージョンです。いわゆるカラオケですね。こういったLessバージョンはEvolutionシリーズといったアレンジ盤を除くとかつては空の軌跡「星の在り処」、ぐるみん「ぐるぐるTonight」「Friends」、ザナドゥネクスト「White Lie in Black」がありました。今回久々に復活といったところでしょうか。存分に歌いたい方たちにとっては待ち望んだ収録なのでしょう。
ちなみにラストエピソードのイベント曲(創の軌跡BGM : 創まりの先へ - YouTube)ですが今回のサントラには収録されていません。恐らくあのイベント内容的に次の軌跡最新作の曲を先行して流したのではないかと思っています。なので本来は創の軌跡と関係のない曲。敢えて収録から外したのでしょう。
今回好きになった曲は全81曲中55曲、その中で特に欠かせないお気に入り曲は19曲ありました。
ゲーム音楽は自分にとってゲームの肝心要なメインディッシュ。今作の音楽はどうだったかというと…良かったです。諸手を挙げて絶賛するまでとはいきませんが過不足のないナイスなサントラでした。他社と比べても十分遜色ないクオリティでしたし万人にとって何ら不満のない素晴らしいサントラだったと思います。ゲーム内でも良い印象でしたがCD音質で聴くとさらに印象はよくなりましたね。いくつかの曲は今後一生脳裏にメロディが焼き付き続けることになるでしょう。サウンドチームの皆さま、今回も素敵な曲をありがとうございました。
ただ少々個人的には苦虫を噛み潰したような表情を浮かべざるを得ない理由がありましてちょっと物足りなさは残りました(理由は後述)。閃IVの頃から次こそは…!という願いはまたしても叶わず。この調子だともうこの方針から変わることはないのでしょう。恐らく数年、いや下手したら向こう10年ぐらいはこのような状態で続くのかと思います。でもそれも仕方のないこと。受け入れるかそれとも黙って去るかを選ばざるを得ないのでしょうね。
あと全81曲(OPのVer違いを除くと実質全78曲)とここまで大量に曲を作る必要があったのかも疑問。いくつかの曲は1、2回程度の使用に終わり文字通り消費されるだけの音楽になってしまいました。別に曲はたくさん必要ではなく2枚組程度のボリュームで十分、そうすれば今回ほぼ半数の曲を外注の音楽スタッフに頼る必要もなかったように思います。実際同時期に発売されたコーエーテクモの「ライザのアトリエ」は2枚組サントラでしたがゲーム内で曲数の少なさに不満を覚えたことはありませんでした。近年の作品では曲数が無駄に肥大化する一方なので(これはファルコム以外にもいえますが)本当にこの場に新たな新曲が必要なのか、既にある新曲で間に合うのではないか、などもっとよく吟味しながら作って欲しいですね。でもその外注スタッフの曲は素敵な曲ばかりでしたので出来上がった曲自体に不満はないです。
冒頭セクションで述べた通り、曲別の作曲者情報は一切ありません。それなら公式に代わって自分がやるしかない、ということでここで拙作Wikiの宣伝です。曲別作曲者についてはこのWikiに答えはあるかと思います。
以下はあくまでも素人の戯言です。上から目線で申し訳ありません。
推測によると26/81曲(編曲も含める)、全体の32%を担当。
名実ともにサウンドスタッフの柱となる園田氏。氏のお陰でファルコム作品の音周りは全て成り立っているといっても過言ではないと思います。イースIXのサントラレビュー記事でも触れましたがイースVIII以降少し精彩を欠いているように思えた氏ですが(あくまでも自分の主観です)イースIXからはまた再び調子が戻ってきて今回も安心の氏ならではの曲揃いで不安を払拭してくれました。どれも指折りの出来栄えとなっていてトータルの満足度は高いですね。
まずロイドルートの通常戦闘曲「Stand Up Again and Again !」を氏が担当して頂けて曲調も継承してくれていたのは繋がりを感じられて喜ばしかったです。ちなみに氏が通常戦闘曲を手掛けたのは意外にも今作が恐らく初めてのはず。そういった意味でもメモリアルな作品となりました。そして今回最も評価したい曲は「Maliciousness in The Mirror」。モノトーンの地味めな曲ですがあの場に応じた雰囲気だけでなくメロディーの美しさ、そして音楽的な奥ゆかしさも中々のもの。キャリアを重ねた氏だからこその円熟味のあるいぶし銀のような曲となりました。次回作でも多数の曲を引き続き受け持つことになると思いますがもし軌跡シリーズ共和国編になるのなら世界観的に園田氏の持ち味が遺憾なく発揮されるのではないかと思います。期待したいですね。
推測によると7/81曲、全体の8%を担当。
今回もイースIX同様に寡作でした。ファンとしてはもっと曲を書いて欲しい、と願っているのですが色々やむにやまれぬ事情もあるのでしょう。社内の音楽スタッフは曲作りに専念出来るわけではなくSEや音声編集、ゲームへの組み込みなど音周りのことを多岐に渡って全て受け持たなければなりませんでしょうしファルコムのような中小メーカーの場合は人手不足から他業種の作業に携わることもあるでしょうから。他に素人考えでは到底及びもしない内部事情もあるのだと思います。
そんな嘆きはともかくとして少ない曲ながらも今回も価値のある曲を残してくれました。まずリィンルートの通常戦闘曲「Like a Whirlwind」を作ってくれたのは氏が閃Iを除きII以降の通常戦闘曲を作っていたこともあって快哉を叫びましたね。そして作品の根幹となるクロスストーリーのメニュー画面、夢幻回廊のフィールド曲、そして重要な外の理との対峙曲、これらを受け持っていたのが依然として氏が社内から高く評価され信頼されている証。特に「零の邂逅」の音楽的な深みは類をみないほど。氏ならではの唯一無二の音楽世界を築かれています。その他の曲も氏の確かな技術力に裏打ちされた磨き抜かれたサウンドは健在。そうなるとエンディングロール曲も…と個人的に渇望していましたがさすがに3作立て続けになるとマンネリになってしまうのを避けたのでしょうか。それでも氏の曲で聴きたかったですが。他にせめて1曲ぐらいは中ボス戦曲を聴きたかったですね、イースIX「MONSTRUM SPECTRUM」や「WILDCARD」みたいなはち切れんばかりのロック曲を。さらに言うとフィールド曲も…って、高望みしているとどんどん聴きたかった曲が出てしまいきりがないことに。
ただ称賛ばかりだけではなく個人的には今回少し覇気に欠けていたようにも見受けられました。イースIXのときのようなガツンと来るインパクトの大きな曲がなかったというのもあります。それはともかくとしてとにかく少数精鋭、相変わらずクオリティは一級品、外注の神藤氏に最も近い域に達しているのがこの宇仁菅氏。満足した反面今回も満たされませんでした。次回の軌跡シリーズ最新作でも同様の少ない曲数になる可能性は高いと思われます。それならいっそ退社されてフリーに…と思わなくもないですがそのままフェードアウトしていった新井智氏や松村弘和氏、大崎政範氏といった例もあるので難しいところです。
推測によると3/81曲、全体の4%を担当。
イースIXの頃に入社されていましたが今回遂に満を持してのファルコム作曲デビュー。それがいきなりの場外ホームランをかっ飛ばしてくれました。Cルート通常戦闘曲「Wind-Up Yesterday!」、この1曲だけで値千金の価値があると思います。ネット上でもこの曲が好きという人はかなり多くて既に人気を博している模様。他の2曲も悪くない曲でしたがまだ氏の実力の程は未知数。もっと多くの曲を聴いてみたいですね。今までの新人の例からいってデビュー作では片手で数えられるぐらいでも次の作品では結構な量の曲が採用されることが多いので恐らく次の最新作では少なくとも10曲前後は氏の曲を聴けるのではないでしょうか。次回作が引き続き軌跡シリーズ最新作になるのならイースより作風的に合っていそうです。楽しみにしていたいですね。
推測によると8/81曲、全体の10%を担当。
プロローグの殆ど、夢幻回廊の通常戦闘、重要な中ボス戦、重要シーンのイベント、ラスダン、ラスボス戦とある意味今作では神藤氏の曲が重要な役割りを果たしていました。作品の根幹となるシーンに使いたいぐらいそれだけ意義深く素晴らしい曲を作られていたという証でしょう。流石と言えます。氏に関しては文句の”も”の字もありません。ただただ賞賛の言葉しか思いつきませんね。
既に大人気となっている「Infinity Rage」も良い曲ですが個人的には「反攻の烽火」や「Stake Everything Strategy」といった高機動のオーケストラ曲を讃えたいです。実は氏のオーケストラ曲はあまりに上手すぎて逆に聴かないことが多かったのですがこの2曲は毛嫌いする必要のないぐらい説得力の強い曲でした。改めて御見逸れしました。「Reverse Babel」の格調高い味わいも素晴らしくラスダン曲だからといっていたずらにドンチャン勇ましくする必要はないという証明もしてくれました。ファルコムと関わってもう何十年というベテランの神藤氏ですがまだまだ進化と深化は止まりません。次回作は一体どんな曲を作ってくれるのか、引き続き期待大です。
推測によると37/81曲、全体の46%を担当。
海外ファルコムファンからは賛否両論の氏の曲ですが作品を重ねる毎にクオリティは改善。ファルコム作品との親和度も増していて今作は外野からの雑音を一掃するような会心の出来栄えだったのではないでしょうか。シリアスイベントを演出した「Raindrops With The Wind」「ひとかけらの光明」やエピローグを彩った「優しさを未来に託して」「Life Goes On」は心の底から感銘を受けるほど素晴らしくて氏の音楽センスは決して劣っていないことを証明してくれました。そして作曲者の音楽性が如実に露わになるバラード曲を聴けば氏の暖かな誠実さが伺えるというもの。「Section G.F.S.Ⅱ」「Golden Fever」「鋼鉄牙城」「波間に弾む心」といったシンセ主体のテクノポップも何ら不満ない鮮やかな出来栄え。これらのジャンルでは聴く価値の高い曲ばかりでブラボーです。またアップテンポで激しめのロック曲もこれまでに偶にあった(特に閃IVなどで)歪な音楽性が露呈することもなく万人に受け入れられやすいストレートに格好いい曲になっています。そして「夢幻の彼方へ」で遂に氏が音楽の深層へと辿り着きました。イースIXでその域に到達しようとしていましたが今作でひと皮もふた皮も剝けてより高みに到達したと言ってもいいでしょう。ということで次の最新作でもガッツリ関わるのは確実ですが今作を踏まえて次はどんな音楽世界をみせてくれるのか楽しみにしていたいですね。
キャプチャー系機器は玉石混交でどれを選べばいいか分からない。以前(記事:DC-HC1に替えてRagnoGRABBERを購入)を持っていてPS3キャプチャーに一役買ってくれたのだけどPS4にはまともに対応していないこともあって既に手放し済み。キャプチャー機器は数年ブランクがあるので今どれが主流なのか人気なのか安定しているのかはさっぱり。Amazonは明らかな業者レビューが蔓延っているから見極めが大変。そうしてなんとか探し当てたのがRagnoGRABBERよりさらに前に使ってたメーカー(記事:PS3用にキャプチャーボード買ったよ)のDRECAP製1080P/60fps録画対応HDMIキャプチャーボード。同じPCI Express内蔵のボードタイプであり、レビューにはアマレコTVの文字もあり、玄人と思わしきレビューも多く、業者レビューは見たところなさそうだったのでこれにしてみました。今は外付けが主流みたいだがやはり自分には慣れたボードタイプが一番向いていそうだ。
ボードの外観はこんな感じ。ボード左下「J9」と書かれてる部分が例のHDCP無効化用のピン。PS4では設定でHDCPを無効化出来ることもありひとまずピンは切らずにそのままにすることに。
そしてボードの裏側はこのように。
ちなみに付属品はこのボードと省スペースPC用ロープロプラケット、ドライバ&ソフトウェアが入った付属CDと紙の説明書のみ。梱包含めて片手で楽に持てるぐらいのコンパクトさ。
Amazonカスタマーレビューの先人達のアドバイスに従いまず先に付属CDからWindows10用のドライバを右クリックメニューからインストール。次にPCは一旦シャットダウン、ボードを取り出し例のピンは切らずにそのままスロットに装着。PCを再び立ち上げさらにPS4も立ち上げて予めフォルダにセットアップしていたアマレコTVを起動させてこれでOK、と思ったら…。
映像が真っ暗で何も映らない。ググったらアマレコTVの設定画面から”EVR優先”にチェックを入れたほうがいいとのことでONにしたら無事映ってくれて解決。
でも次は音が出ない。PC側の再生デバイスの音声出力設定とアマレコTV側の音声出力の設定を同じにすることで解決。あとデフォルトのアマレコTVには60fps設定はないけど直接60fpsと書き換えることで解決。
以上このふたつがこのボードの主だったトラブルだと思います。
付属CDには「DRECAP DAISEN」というこのボードのデフォルトキャプチャーソフトがあってこのソフトは基本使わない。しかも起動時に何か通信している節があってちょっと不安。ただこのソフトはトラブルが起こった際、Windows自体に問題があるのかアマレコTVに問題があるのかの切り分けになるので必ずインストールしておいたほうがいい。
偶にアマレコTVを起動させてもエラーでPS4の画面を映してくれないときがあってその場合は一旦DAISENを起動させて映像が映ったのを確認してから閉じて再びアマレコTVを起動させると無事にPS4の画面が映るようになる。なにかテレビを叩いたら映るようになる的なアナログさではある。
ちなみに自分のPCは「CPU:Core i5 4570S、メモリ:16GB、グラフィック:GeForce GT 1030」という数世代前のスペックでメモリ以外は劣った部分しかないけどコマ落ちせずCPU使用率も高く張り付くこともなく安定してキャプチャー出来ています。使用率は最大でも33%ぐらい。使用コーデックはAMV4で圧縮設定はDR3の高圧縮可逆。
というわけで無事目論見通りHDキャプチャー環境が整って大満足の一品でした。これまで上記で挙げた映らない以外のトラブルは無し。PCやWindowsに影響を及ぼすトラブルも無し。極めて安定して動作。PS3時代からDRECAP製は自分と極めて相性が良いですね。
で、なんのためにこのボードを買ったのかというと全ては創の軌跡のため。その成果は創の軌跡 (Hajimari) BGM List [完/end](YouTubeマイチャンネルのプレイリスト)になります…って、ゲームキャプチャーはキャプチャーでもプレイじゃなく音声だけかよって感じではありますがw さらにおまけとして少女地獄のドクムス〆BGM集 (全20曲)も。ま、イレギュラーな使用用途とはいえこれもキャプチャーの正しい使い方のひとつ。こういった用途にも耐えられましたね。そしてこのボードさえあれば今後は安泰。多分PS5でも問題なくキャプチャー出来るはず。当面は使っていけるのでBGM以外にも何か動画作りに活かす機会があればいいですね。
ゼンハイザーHD598を買ったのがもうかれこれ5年前(Q701に次いでHD598を買いました)。今年になって遂にイヤーパッドの裏側の黒くなってる部分がボロボロと破れてしまいました。そこ以外はまだまだ現状維持。当初はむしろヘッドクッション部分がボロボロになることを危惧していたものだけどね。機構部分もガタがくることもなく頑丈。ケーブルも断線せず。やはり一番長く肌に触れる部分が真っ先にボロボロになるみたいだ。
5年のブランクがあるから購入当初とちょっと写りが違うとは思うけど気になさらず。色合いは写りの違いがあるから一概に言えないけど多分黄ばんだりしてはいないとは思う。そもそも元々いわゆるプリン色に染まってるから黄ばんでも気にならないw
ボロボロになった部分はここ。ご丁寧に左右両方同じようにボロくなった。この状態でも聴けるけど捲れた部分が耳に当たって非常に不快でストレス溜まってしまう。
新たに交換用イヤーパッドとして購入したのが「Geekria イヤーパッド」。カラバリでブラックもあったが元のHD598のイヤーパッドの色と同じと思われる「Dense Velvet Brown」にしてみた。他の選択肢としてBlueFireってメーカーのイヤーパッドもあってこっちのほうが数百円安いけどカラバリはブラックしかなくてプリン色には合わなさそうなのでやめた。
ちっこい白い箱の中にビニール袋に包まれたイヤーパッド一組二つと返品時の注意書きの紙となんかの黄色い棒とガード用と思わしき薄いスポンジ。早速イヤーパッドを袋から取り出したけど…第一印象は雑。跡がくっきりついていていかにも安っぽい。製造国は特に書いていないみたいなのだけどやっぱり中国製かな。ボロボロになってるオリジナルのイヤーパッドのほうが遥かに綺麗な状態なのってどうなのよ。ま、跡は使ってるうちに消えていくのだろうけど。色合いはオリジナルがそもそも経年劣化で僅かに変化してる可能性があるけどややくすんだブラウン色ってところか。
一見するとサイズ感がオリジナルと違うような気がしてもしや互換性のないイヤーパッドだったかと焦ったけど裏側の止めるリング部分はオリジナルも交換品も同じサイズで安堵。目の錯覚でそう感じたのかもしれないな。
←オリジナル|交換品→
真っ先に傷んだ懸案の裏側はオリジナルと違い柔らかい作りになっていてこれなら破れたりしないかもしれない。とはいえ元が元なので期待薄だけど。
←オリジナル|交換品→
横に並べてみたけど経年劣化したオリジナルのイヤーパッドのほうがまだ厚みがあるように見えるけど実際比べると同じぐらいか。
←オリジナル|交換品→
イヤーパッドの匂いはゴム製品っぽいちょっとツンってなるような匂いがする。
そういえば付属の黒いスポンジは自分は梱包時にイヤーパッドが擦れないためのガード用と思ってたけどググってたらこれも使ってるレビュー記事を見かけた。いやイヤーパッドと一緒にスポンジ嵌めたら音が明らかに変わるだろうし交換品以上のことをしてしまうのでは?さすがにそんな用途なわけはないだろう。
それはともかくとして早速交換品をHD598に嵌めていく。これどっちがどっち向きとかはないのかな。リング見る限りほぼ同じ歪なしの楕円形に見えるからどっち向きにつけても大丈夫なのだとは思うけど。嵌めるとき本体もイヤーパッドも壊してしまいそうで怖いけど意を決してパチパチッて指で押し込めばすぐに嵌ってくれて実際やると簡単。というわけで見た目は新品同然の状態に生まれ変わりました。ただやはりイヤーパッド部分は少し撚れていたり跡もついていたりとお世辞にも綺麗とは言えない。ま、それが嫌なら高いお金出して本家の交換品を買えよってことなんだろう。
さて、肝心の音はどうか。ただ、最近はK712PRO(HD598に続き AKG K712PRO を買ってしまいました)やイヤホンのZH-BX500-DC(ZERO AUDIO ZH-BX500 を購入レビュー)をメインに使っているからHD598の音がどんなだったか忘れてるw いや一応交換前に変化をチェックするために聴いてはみたのだけどボロボロのイヤーパッドだからそもそもが音が変化してる可能性もあってあまり参考にはならなさそう。でもぱっと聴き、音が固くなってちょっと籠もった感じになった気はする。僅かに音像も遠目になったかも。その代わり音場の広がりは少し増したようにも。慣れたら多分気にならない変化かな。
それにしてもHD598ってこんなに低音がブーミー気味に響くんだったっけ。結構低音がまとわりついて聞きづらさがあるほど。良く言えばまろやか柔らかでHD598でよく形容されるまったりという味付けではあるのだが。ま、K712PROやZH-BX500-DCといった低音の量感が少なめのフラット系のヘッドホンやイヤホンばかり使った弊害だろうな。折角修繕したけどいつの間にか音の好みが変わったようで今後あまり出番はないかもしれないw
この間無事クリアしてトロコンも達成した『十三機兵防衛圏』。「CEDEC AWARDS 2020」にて「ゲームデザイン部門」「サウンド部門」の2部門で優秀賞受賞(最優秀賞ノミネート)という栄誉にも輝いた。早速オリジナルサウンドトラックも購入したので楽曲を振り返ってみよう。
注)本文中にはストーリーのネタバレ要素はありません。
楽曲制作は音楽制作会社ベイシスケイプ。サウンドディレクターは崎元仁氏、そして作編曲者として金田充弘氏、工藤吉三氏、渡邊里佳子氏、菊池幸範氏、東原一輝氏、千葉梓氏(以下敬称略含む)が名前を連ねている。ちなみに東原氏と千葉氏は今作の途中か終わったあとか分からないけど既にベイシスケイプを退社されているようだ。なのでこのふたりは他の方と比べて作曲数は少なくさらに千葉氏の曲を他者が編曲している例もある。ディレクターの崎元氏はオープニングと挿入歌、メニュー画面、ラストバトル、大詰めの曲とおいしいとこ取りの曲を作られていて作曲者としてもきっちり手腕を振るわれている。
作編曲:工藤吉三=20曲/金田充弘=16曲/渡邉里佳子=14曲/崎元仁=10曲/菊池幸範=9曲/千葉梓=8曲(作曲のみ=4曲)/東原一輝=6曲(作曲のみ=1曲)
編曲:渡邉里佳子=2曲/金田充弘=1曲/工藤吉三=1曲/菊池幸範=1曲
正直なところプレイ中はあまりBGMは印象に残らなかった。強いて言えば最初の冬坂登校時の曲や校内での平穏な曲など日常曲は良いなと思えたぐらい。なので折角ちょっとお値段高めのサントラを買っても一部の曲しか楽しめないかなと思ってたけど全くの杞憂に終わった。全83曲をそれぞれ五つ星評価したら四つ星以上が44曲。普通評価にあたる三ツ星以下の二つ星評価や一つ星評価の曲は無し。アンビエントなイベント曲ですら聴き応えがあって類まれにみる良曲名曲尽くしの素晴らしいサントラでした。
今作ではまさにバックグラウンドミュージック的な曲が多くて明快にメロディアスな曲は少なめだけど退屈と思える瞬間は殆どない。どの曲も中身が濃くて興奮・癒やし・思索に満ち溢れていて否応なく感受性が刺激されっ放し。やっぱりゲームで聴いたときとサントラで聴いたときとは印象がガラリと違う(確かゲーム内のBGMは効果音やボイスの被りなどを考慮してダイナミクスを下げたり特定の音域をカットしてるのだったかな)。当たり前だけど全ての曲が十三機兵防衛圏の世界観とマッチしていて一瞬一瞬の音が鳴り響くたびにすぐにその情景が思い浮かびあの世界へ気分がトリップ。ゲーム音楽として最高の働きをしてくれている。サウンドもとてもきめ細かくて緻密。一粒一粒がクリスタルのように光り輝いているから音と音が織り成す彩に聴き入ってしまうばかり。ベイシスケイプ全員の技術レベルが非常に高いからこそだろう。飽きずに三周四周、五周と時間があればいくらでも聴けちゃいそうだ。
全部の曲が好きだけど特にお気に入りなのはやはり何も背負っていない日常曲。大体において自分はこの手のアコースティックな緩徐系の曲を好む傾向があるけど今回も同様だ。
ハートフルで後半の白昼夢的な雰囲気が印象的な「In the Doldrums」(作:渡邉里佳子)、爽やかな朝露感じさせる「Mornin', Sunshine!」(作:金田充弘)、長閑で伸びやかなクラリネットが気持ちいい「Halcyon Days」(作:工藤吉三)、ギターとベースサウンドが心地良く愉悦さ溢れる「Good Times」(作:千葉梓)、アンニョイながらエッジ効いたチェロがスパイスの「Taking It Easy」(作:渡邉里佳子)、小洒落て愛らしい「Forty Winks」(作:渡邉里佳子)、清爽で輝かしい「Bright Days Ahead」(作:千葉梓)、リリカルでメランコリックな「BUDDIES」(作:千葉梓)、甘く切ない「Feeling at Ease」(作:渡邉里佳子)、心が洗われるような柔和さが心地良い「Fancy Some Tea?」(作:千葉梓/編:工藤吉三)、暖かいけどふと沈み込むような陰影が印象深い「Bittersweet Sorrow」(作:千葉梓/編:菊池幸範)が気に入っている。その中でも「Bright Days Ahead」はゲーム中でも特にピアノのメロディが印象に残っていてこの曲をちゃんとした音質で聴きたいがためにこのサントラを買ったようなもの(少し大袈裟)。サイドでコロコロと転がる音とトランペットの伸びやかな響きがまた快い。ただ曲の尺が長めだからリピートしてくれていないのが残念!いくつかの曲がこの曲の素敵なアレンジになっていたのは嬉しい贈り物だった。
一転してシンセが軋めくテクノポップサウンドへ。アコースティックサウンドとのコントラストが効いてて飽きさせないナイスなコンセプト。こちらもどの曲も素晴らしいけど終盤使われた「-[DEOXYRIBOSE]-」(作:工藤吉三)と「-{EDGE OF THE FUTURE}」(作:崎元仁)は異彩を放つ存在感。「-{EDGE OF THE FUTURE}」はイントロのOPメロディが引用されたシンセサウンドから胸高鳴るが中盤で重厚なオーケストラサウンドが押し寄せ特に3:26あたりから盛り上がるオーケストラのうねりがすごい。作曲した崎元仁氏はもちろん昔から存じていたし『戦場のヴァルキュリア』もプレイ済みだけどこれまであまり氏の曲に縁がなかった。今回改めて氏のすごさを思い知る。ベイシスケイプのメンバーは全員スキルが高いけどやはり崎元氏は格が違う。
この曲以外だと「(VALINE)-」「-(ISOLEUCINE)-」(作:工藤吉三)と「-(LYSINE)-」「-(PHENYLALANINE)-」(作:金田充弘)がキャッチーさと格好よさがあって痛快。機兵戦曲は基本的に中盤からギア上げて盛り上げにかかるけど工藤氏と金田氏の曲は特にこの展開が聴かせ上手。ディスコ調な「-(THREONINE)-」(作:渡邉里佳子)やオリエンタルさが漂う「-(TRYPTOPHAN)-」(作:渡邉里佳子)、メロディックと無機質のぶつかり合いが気持ちいい「-(HISTIDINE)-」(作:菊池幸範)も良かった。
惜しむらくはコンセプトとしてゲーム中の機兵戦の展開がそのまま曲に盛り込まれているので戦闘勝利BGMもシームレスに一緒になっていること。盛り上がっている最中に突如異なる曲調に変化して終わるのでちょっと調子が狂う。でも何度か聴いているうちにこれはこれで起承転結ついて良いのかなと思えるようになったかな。
それにしてもプレイ中、こんな激しい曲が流れてたっけってなる(笑)
残りの曲全部、と言いたいところだがさすがにきりがないので。最早日常曲とイベント曲の境目も曖昧だが。
得体の知れない怖さを感じさせる圧の強いイントロがプレイ時から印象に残っていた「Lonely Struggle」(作:渡邉里佳子)、壮大で不穏なサウンドだけど途中テンポアップするような部分が面白い「IMMINENT」(作:工藤吉三)、ひたすらに痛切なストリングスと慰めるようなボカリーズが鳴り響く「Self Sacrifice」(作:工藤吉三)、沈潜としたストリングスが印象深い「A Brave Gene」(作:崎元仁)、まさにSFチックなサウンド「SEEKER」(作:金田充弘)、音選びが好み「The Plot Thickens」(作:渡邉里佳子)、鬼気の嵐「Metal Demon」(作:金田充弘)、穏やかで優しい「The One」(作:菊池幸範)、内に秘めるパッション「RESOLUTION」(作:東原一輝)など珠玉の楽曲の数々に聴き惚れるばかり。
イベントで流れる曲ではないけどメニュー画面曲の「Voyage to Tomorrow」(作:崎元仁)はプレイ中に聴いたときは大して印象に残らなかったけどこうしてサントラとして聴くと綿密に作られていて聴き応えある。逆に印象に残らないのは正解かもしれない。色々作業したり読んだり考えたりするメニュー画面曲として下手に引っかかりがないように作られているのかもしれないな。
ところで「Staring Into the Void」は0:47から少し J.S.バッハ の平均律クラヴィーア曲集第1巻1曲目BWV846のフレーズが入っているような?ある意味このゲームも思索的であり哲学的でもある内容なので同様に深遠なバッハの曲を引用した、というのは考えすぎか。
繰り返しになるがトータルでの完成度が並外れてて改めてすごいの一言。ゲームもすごいが音楽も並外れてすごかった。あの世界観を思い耽りながら今後も聴き続けたい。
複数人で作曲をしているのだけどムラがない。仮に作曲者を隠して聴いたとしても複数人で作っていると分からないぐらいだ。ひとりが飛び抜けていたりひとりがやや劣っていたりすることがなくこれがプロの一流の仕事なんだと感心した。ただまだベイシスケイプの楽曲を聴いて日が浅いからいずれブラインドでも分かるようになるのかもしれないが。例えばこれがファルコム曲だとFalcom Sound Team jdkメンバーそれぞれが独自のサウンドを持っていて決して寄り添うことなく個性を曲げないからサントラとしての完成度にバラつきが出る。ま、ある意味個人プレーが出来て自由度が高いとも言えるから一長一短なのかな。
ベイシスケイプはこれまで自分のゲーム歴ではほぼ縁がなかったけど今後今更ながらだけどもっと追っていきたい。ということもあって今はVita版『朧村正』をプレイ中。次は『オーディンスフィア』『ドラゴンズクラウン』になるかな?。どんどん過去を掘り下げてお宝を探していこう。
23:01
自分としては珍しく10日間でクリアしたイースIX。お蔭でサントラが発売されるまで一ヶ月半ぐらい待ちぼうけくらってしまいましたがようやくCD音質で聴ける喜びを味わえましたよ。ってことで今回も簡単にサントラと曲の感想を書いていきますね。
これまでのイースシリーズのサントラ感想はこちら。
EDイラストカードセットが付く初回生産限定盤のほう買ったんじゃないの?と思われるかもしれないが個人的にDVDトールケースサイズが気に入りませんでした。やはり棚に陳列した際にちゃんと綺麗に並ばないのがイヤなので…。普通に通常盤だけ出してくれればいいのにこうゆう商法をして欲しくなかったです。こうなるとじゃあいずれ出るイースXのOSTでもDVDトールサイズ版も出すんだよね?ってなるじゃないですか。
音質はヘッドホン「AKG K712 PRO」による判断ですが良好だと思います。音がおとなしかった閃IIIや暗かった閃IVや雑然としていたイースVIIIよりまとまりのある音質に仕上がっているのではないでしょうか。ただややのっぺりとしているかもしれません。音場もちょっと狭い感じを受けます。(以上、あくまでも個人の主観です)。それでも一般的には良い音質なことには変わりはないかと思います。
曲が残す余韻と次の曲に向けての心の準備を作る大事な曲間の余白時間は大体3~5秒と普通ぐらい。ハイレゾみたいに1秒しかなくても駄目、閃IVみたいに6秒もあっても駄目、いい感じの塩梅ですかね。ただ「PRISONCITY」など一部の曲のフェードアウト処理が雑なのが気になりました。もう2秒ぐらいなだらかにフェードアウトしてくれたら違和感なかったかも。あと今回やたらループせずそのまま終わる曲が多いです。「IL E'TAIT UNE FOIS」「TRANQUIL SILENCE」「TAKE IT EASY!」「BAR 'DANDELION'」「CHALLENGER'S ROAD」「INVITATION TO THE CRIMSON NIGHT」「FORGOTTEN DAYS」などはフェードアウトせず終結部を作って終了。個人的にはやはりフェードアウトしてもらったほうがいいですかね。ただ雑なフェードアウトされるのならそのまま終わってくれたほうがいいですが。
全曲リピートはしておらず。ただCD1は43分、CD2も44分ぐらいしか収録していないのでコスパは悪いです。もちろん枚数嵩むから全曲リピートしてくれとは言いません、でも人気になることが必死なバトル系の曲だけでも (今作だとボス戦曲、グリムワルド曲、ダンジョン曲、フィールド曲など) は最低限リピートさせて欲しかったですね。音楽を重視するファルコムならそれぐらいのサービスはあっていいはず。もしそうする気がないのならCDの最大収録分数80分内にそれぞれを収めて2枚組に出来たのではと。例えばCD2を半分にしてCD1とCD3に収めるとCD1は余裕だがCD3が75分になるけどでも過去に閃の軌跡IIがCD2で78分収録していたので問題はないはずです。2枚組になっていたらイースVIIIのOST(完全版ではない初期版)と同じ値段2,980円(税抜)になっていたかもしれない。2枚組に収まるものをわざわざ3枚組にして3,500円で発売というのはよく分からないです…。
全曲分書いたらきりがないので特に好きな曲や気になった曲のみ簡単な感想を書きます。まだ本編未プレイの方のためになるべくネタバレにならないよう書いているけどちょっとバレっぽくなってたら申し訳ありません。
IL ETAIT UNE FOIS(バルドゥーク入場、回想)・・・ふたりがバルドゥークに入ろうとするときの曲。可憐でメランコリックなメロディが心を打つ愛らしい曲。曲名はフランス語で「むかしむかし」と訳せて確かに最初に出てくるアコーディオンのフレーズはどことなくフランス感あります。とあるキャラの回想時の曲としても使われてそういった回想的なノスタルジーも掻き立てられサビで朗々と歌われると感慨深さも。ただ折角素敵な曲なのに確か本編ではそのシーンふたつしか使われず勿体なかったですね。
TRANQUIL SILENCE(各サブキャラとの出会い、忌み森など)・・・ヒゲモジャおっさんとの出会い時に初めて流れたときから心奪われた美しくも悲しいメロディ。笛とパーカッションが木霊する荒涼とした雰囲気の前半も味わい深いが後半ストリングスが入ってからは寂寥とした切なさが押し寄せていっそう心に沁み入ります。ゲーム中の会話で少し込み入った話とこの曲が合わさるとなんとも言えない感傷的な気持ちにさせてくれることしばしば。直訳すると「静かな静寂」という意味だがそれとは裏腹に何か変容していくドラマを根底に感じさせる曲ですね。
DREAMING IN THE GRIMWALD(グリムワルドの夜 [防衛戦=冥月の谷、魔刻の道])・・・しなやかに魅了するように舞うチェロと情熱的に絡み合うヴァイオリンのエキゾチックなメロディ。タンゴ的に沸き立つ躍動感を感じさせるユニークな曲。チープな音のヴァイオリンが逆にグリムワルドの夜の奇怪さを表しているかのよう。
PRISONCITY(第II部、III部バルドゥーク)・・・優美なAメロ、素朴なピチカートなどなだらかに歌うストリングスが心地いい。終始おおらかにメロディが紡がれどこか朝を思わせられる清爽な風も吹き込み、そして朝露が滴りバルドゥークの朝が明けてゆく。物語がまだ大きく動いていない前半バルドゥークに相応しい曲となりました。
STAGNANT POOL(貧困街、第VIII部バルドゥークなど)・・・チェロが虚ろに歌う中で雑然と鳴り響くパーカッション、後半はストリングスが虚空に木霊する、そういったまとまりの欠ける響きが貧困街の泥臭さを醸し出しているといえますかね。この曲を聴くたびに暗澹たる気持ちにさせられこのアプローチは効果を上げていました。
HEART BEAT SHAKER(慰みの地下道、タイムアタックメニュー)・・・流麗に歌うピアノとシンセが心地よくて爽快。Bメロからサビへの流れも鮮やか。サビでしなやかに絡み合うエレキとシンセは軽やかながらも静かな胸の高まりを感じさせられ小洒落た中にも熱いパッションを秘めた曲です。
CLOACA MAXIMA(クロアカマキシマ)・・・これが令和時代の新たな世界一格好いい下水道曲(クロアカマキシマとは古代ローマの「下水道」のこと)。勇壮、情熱、キャッチーさなど全てが凝縮されている0:38のメロディがとにかく至高。ヴァイオリンがニュアンス豊かに舞いエレキも華麗なパフォーマンスで魅了しベースも存在感をアピール。まさに役者の揃った極上の饗宴。
MONSTRUM SPECTRUM(ボス戦1)・・・PV曲で使われたときからイントロの勇猛な格好良さにしびれましたがフルで聴いても決して期待を裏切られることはありません。重厚なサウンドから湧き上がる剛毅なエネルギー、そしてサビで猛々しくパワーを迸らせる展開が鮮烈。サビ繰り返しで音程上げさらにヒートアップ。そのあとも熱気保ったままリピートに向けて高揚していく流れが見事。この理路整然とした構成が素晴らしいです。片方のボス戦曲「FEEL FORCE」みたいに無闇にメロディをいくつも紡がずとも造形を作り込むことでボス戦に相応しい威容は十分備えられるという良いお手本ですね。
BAR "DANDELION"(バー・ダンデリオン内)・・・お洒落ながらも可愛らしくてそれがシャンテたちバーの店員さんたちに似合ってます。冒険中よく聴くことになる曲だけに押し付けがましくなく耳心地が良い仕上がりになっているのはさすが。
DENOUEMENT(暖かいイベント)・・・フランス語で「大団円」的な意味。平板な音楽だがその淡白さが円満に解決をした平穏さを感じさせてくれました。変に語りすぎたり粘らない分聴き心地はスムーズ。
WALTZ FOR GRACE(第IV~VI部バルドゥーク)・・・執拗な反復と浮遊するように中身の薄いサウンドが曲名の優雅さとは真逆の喧騒感を生んでいるのがユニーク。センチメンタルな情感も漂うがそれがまだ混迷渦巻く物語の中盤におけるこの曲の立ち位置を感じさせはしました。
MARIONETTE, MARIONETTE(秘匿の道)・・・秘匿という割には美感を損ねるささくれ立ったノイジー音で自己顕示欲を剥き出し。それが騒動の渦中となった思わず耳と目を塞ぎたくなるようなあの人物たちらしくはあります。なんの気まぐれか密やかに歌い始める後半は少し大人な気品が漂いこれこそ秘匿というものでしょう。
A GOLDEN KEY CAN OPEN ANY DOOR(監獄内特区)・・・貴族のワルツ感のある雅なサウンドですがただ貴族然とした気品はなくどこか高慢さや嫌らしさが滲み出ているのがあくまでも囚人たちの集まる場所の音楽といえます。
PETITE FLEUR(暖かなイベント)・・・心地いいギターサウンドで包み込んでくれるこの曲はフランス語で「小さな花」という意味。今はまだ彼女の小さな想いだけどやがて大きく開花して咲き誇るのでしょう。それを見守っていくかのようにどこまでも続く暖かく優しい世界。
FORTRESS UNDERGROUND(井戸の横穴、旧き地下道、秘宝への道)・・・この手の曲調は定番なので感想で触れることは中々ないのですが今回は印象良好。エレキで勇ましくもり立てるイントロから格好良くて、地下道らしく空間的広がりと起伏に富んだ展開は中々に飽きさせません。
HEAT AND SPLENDOR(興行区)・・・賑わう興行区は祝祭感あふれるオーケストラサウンドが出迎えてくれました。闘牛が行われる場所ということもあり勇ましさ溢れる熱気に気分も高揚。サビ前に鳴り響くまさに輝き(SPLENDOR)のようなスレイベルの合図のような一撃が聴きもの。
IN PROFILE, ON BELFRY(貴族街、第VII部バルドゥークなど)・・・躍動するパーカッションが生み出す心地いいリズム、透明感溢れる響きの中で流れ出る清爽なメロディ。ピアノで奏でられる少し寂しさよぎるような表情に引き込まれます。アンビエントと叙情性の狭間、そういった落ち着いた雰囲気が今後起こり得る冒険を静かに告げるような。「TRANQUIL SILENCE」とは違うアプローチで音楽面から物語に深みを与えてくれる曲です。
DESERT AFTER TEARS(泣き骸丘陵)・・・クールなイントロから心をわしづかみ。エレキとヴァイオリンが交互に旋律を奏でるということでどことなくイースVIII「CRIMSON FIGHTER」のフィールド曲版といった趣き。エレキは儚げに響きギターは哀愁を漂わせる。そして疾走する切なくも熱いパッション。メロディに被さるハモンドオルガンがこれまた切なさに輪をかけいぶし銀の大人な色気漂う上質なサウンドにただただ酔いしれるばかり。イースらしい熱気をあらわしながらもサウダージな雰囲気で盛り上げる極上のフィールド曲。ゲーム音楽という垣根を越えた最早芸術音楽でしょう。
A QUARRY RUIN(石切場)・・・荘厳で神秘的なイントロがとにかく良いです。全編このテイストのままのほうが曲として印象付けられたかも。後半ではエレキのメロディで思わずダーナがよぎってしまいますが(THEOS-DE-ENDROGRAM)それはご愛嬌。
CATCH ME IF YOU CAN(ジリオン鉱山・旧坑道)・・・素っ頓狂な曲の中に値千金のキャッチーなメロディもあってなんとも玉石混交。バタバタした曲調はどことなく運動会の様相。旧坑道の面倒くさい攻略にマッチしている曲ではありました。
PRISON OF BALDUQ -YEARNING-(重要イベント)・・・ピアノソロによる最小限の編成だからこそこの曲に込められた想いがダイレクトに伝わります。”YEARNING”とは「憧れ」という意味。今回このバルドゥーク監獄を中心に時を超えて幾多のドラマを見てきた、彼ら彼女たちを思うと感慨にふけざるを得ない曲。
APRILIS(タイトル画面、重要イベント)・・・今作のもうひとつのメインテーマ。静謐に奏でられる美しくも悲しい曲。沈潜としたAメロ、想いがこみ上げてくるようなBメロ、意味深く旋律を刻むCメロ、曲終わりは一筋の光に手を伸ばすかのような。そして余韻を残すオルガンの響き。静かに耳を傾けるだけで彼女の想いが伝わってきます。今回の物語を思うと遠大な時の流れを感じさせてくれる静かながらも繊細なニュアンスに富んだドラマティックな曲です。
GLESSING WAY!(霊峰エルドラ、シエル峡谷道)・・・舞い降りるように颯爽としたイントロに惚れ惚れ。熱気渦巻くシンセとエレキの華麗な舞い。PV曲で散々使われていましたがある意味リード曲として最高にヒット。最初に使われたのは霊峰エルドラへの山登り曲としてですが個人的にはシエル峡谷道で流れたときが核心に迫っていく展開とリンクして盛り上げに大きく寄与しました。
FORGOTTEN DAYS(悲しいイベント)・・・色々と悲しい系イベントで使われていましたがやはり彼が絡むイベントのときが一番印象深いですね。忘れられた日々…まさに彼の慟哭や悲壮な想いが伝わってくるようなひしひしと胸に響く曲…。深い音色のピアノに交わるどこか虚ろなストリングスが哀愁を引き立て…。
GRIA RECOLLECTION(最終幕バルドゥーク)・・・清爽で典雅な雰囲気が漂うもどこかミステリアスさを醸し出すユニークな街曲。ハープは可憐に音を紡ぎチェロはノスタルジックに響く。そして左右で飛び交うシンセが華やかに街を彩りエレキは静かに気分を高揚させていく。あくまでも表面的な効果に過ぎず音楽的な深みは薄いですがしっかりとグリアの思い出は刻まれました。
INVITATION TO THE CRIMSON NIGHT(重要イベント、ゲームオーバー)・・・公式サイトで使われている曲でイースIXの曲としては一番最初にお披露目。イントロのメロディで今作の世界観全てを言い表したといっても過言ではないはず。そういった表現力ではこれ以上ない曲でしょう。
WILD CARD(グリムワルドの夜 (奇襲戦)、ラスダンボス戦)・・・グリムワルドの夜にてラルヴァがスフィン付近にスポーンするようになってから切り替わる曲。戦闘の激化に合わせて音楽も白熱。ツーバス連打が炸裂し尋常ならざるビートを刻み沸き立つように熱く滾るエネルギーの放出は鬼気迫るような凄み。サビ繰り返しでさらに燃え上がるお馴染みの展開は劇的興奮を煽りに煽る。コーダへ向けて一心不乱に突き進んでいく様は実にスリリング。あまりの溢れ出るパッションにむしろアドルたちの勝利BGMになってる感がありますね。ちなみに奇襲が終わるとまた元のグリムワルド曲に戻りまた奇襲が始まるとこの曲に切り替わり、この繰り返しが独特の高揚感も生みました。そしてこの激情はグリムワルド曲に収まらずラスダンのボス戦曲としても使われ無類のカタストロフを刻むことに。
ANIMA ERGASTULUM(ラスボス戦)・・・ファルコム恒例の雄々しいオーケストラサウンドによるラスボス曲。後半「PRISON OF BALDUQ」のメロディがアレンジされて輝かしく鳴り響くところは意味合いを考えると実に感動的。この瞬間のために怪人たちもさらにプレイヤーもこれまで頑張ってきた。そして「INVITATION TO THE CRIMSON NIGHT」を引用しグリムワルドの余韻も残す。物語性に富み戦いの最後を締めくくるに相応しいドラマティックな曲です。
PRISON OF BALDUQ -LIVE THE FUTURE-(重要イベント)・・・未来を生きる…まさに希望に満ち溢れた音楽。ふたつの場面で使われたがどちらもまさに万感胸に迫る感動を味わいました。ピアノでは寂しさを感じた「PRISON OF BALDUQ -YEARNING-」もストリングスに変わると全く違う表情に感じられるのがアレンジの妙。
NEW LIFE(エピローグ)・・・切ない余韻を感じさせつつも前向きな気持ちにさせてくれる晴れやかなお別れ。ヴァイオリンとピアノが冒険の思い出を追憶するように寂しく響くもすぐに新たな新生活へ向けてエール送るように後押し。最後はヴァイオリンも輪になって踊るように。そんな清爽で幸福感に満ち溢れた曲。明るくお別れが出来る、それが何よりの喜び。
DANDELION'S JOURNEY(エンディング)・・・そしてそれぞれ新たな冒険へ歩みだす。ハーモニカは口笛のように軽やかにヴァイオリンは暖かく包み込みトランペットは天使の祝福のように鳴り響く…。どこまでも優しい風合いが嬉しい。なんてこの世界は愛おしくも美しいんだろうか。まるで天上の音楽。そんな世界にしてくれたアドルたちに乾杯。最後にメインテーマ「INVITATION TO THE CRIMSON NIGHT」を静かに奏でて今回の冒険の幕を下ろしました。
イースVIIIで「DANA」「LOST IN GREEN」「YOU'LL SEE OUT THE END OF THE TALES」といった名曲を生み出したjdkメンバー園田隼人氏は今作も大多数の曲を手掛けておられます。イースVIIIでは36曲、閃IIIでは42曲、閃IVでは34曲に引き続き相当な作業量。イースVIIIでは破竹の勢いでしたが個人的に閃III、IVでは精彩を欠いていたように思え実際あまり好きになれる曲が少なく世間的にも評価される曲はあまりなかったのではと思います。特に閃IVは結構荒れていた。なので今作はどうかなと心配していましたが「DECISION」で最高のスタートを切りました。どうやら園田氏は作風的にツヴァイ2やセルセタの樹海、イースVIIIなど土着的な作品のほうが適正あるのかもしれませんね。「INVITATION TO THE CRIMSON NIGHT」はこのゲームの代表曲。この一聴してすぐに世界観を掴めるメロディを作り出せたのは氏の大勝利。「PRISON OF BALDUQ」「EYES ON...」も良いです。氏は古くは「星の在り処」からそうですが内省的な曲になると感情の吐露がしなやかに発揮されるように思いますね。いわゆる劇伴的な「INQUISITION」も飽きさせず聴かせます。ただ確かに少々ルーチンワーク的な曲もありますが求められる場面に適した曲を少ない時間で数多く生み出すというのは並大抵のことではないはず。職人的なゲーム音楽作家としてもっと高く評価されて然るべきでしょう。
一方もうひとりのjdkメンバーでありイースVIIIで「SUNSHINE COASTLINE」「GENS D'ARMES」「CRIMSON FIGHTER」などの名曲を生み出した宇仁菅孝宏氏は今回7曲しか書かれておりません。閃IVでも13曲と少なめでしたが今回さらに減少されてしまったことに。昔から宇仁菅氏は寡作な方で半分近い曲を作ったのは閃IIと東ザナぐらいですが残念ながら今回もその例に漏れず。その分一つ一つの曲の完成度は非常に高くて特に「DESERT AFTER TEARS」は値千金の一曲。この曲だけで数曲分の価値はありますね。他にタイトル画面、ボス戦、エピローグ、エンディングなど重要どころの曲を引き続き任せられており依然としてファルコムからの信頼も厚いはず。音楽的にいっそう深みに達しており他の3人とは違う氏独自の世界を作っておられます。ただやはり曲を聴ける機会が少ないのは寂しい限り。もしかして当初からこれぐらいの曲しか書く予定がなかったのかもしれませんね。普通にSEや音声編集の比重が高かったか兼業している他の職務に移行したか他の部署のヘルプに入ったか今度こそ次タイトルの制作に移行したか外注の真我氏を信頼して委ねてしまったとか…。あと氏のように一曲一曲を緻密に磨き上げるタイプだと曲をたくさん生み出すのが難しいというのもありますがそれにしても…。本来なら氏が作ったかもしれない(RICORDO、OVERCOME THE ROCKY PATH、THE VALLEY OF THE KINGSなどに相当する)曲が色々と散見されるのが悔しいところではあります。
ファルコム常連の外注コンポーザー神藤由東大氏は今回4曲。既にPV内の曲で使われファンの期待値を上げに上げまくった「GLESSING WAY!」や「CLOACA MAXIMA」などなど曲数は少なくてもどれも印象に残す曲を書かれていて流石の一言。やはり神藤氏の作るメロディラインは最高にエモい、アレンジもワンランク上のレベル、音源も上質、全てがプロとして一流の仕事です。既に「CLOACA MAXIMA」「GLESSING WAY!」がトップクラスに人気を博していますが個人的には「HEART BEAT SHAKER」がグッときました。神藤氏というと重厚なオーケストラ曲や華麗なロック曲のほうが人気になる傾向が強いですが自分はこういゆう軽めのタッチの曲のほうが好み。とにかく今作での神藤氏の仕事は素晴らしかったです。
そして同じく外注コンポーザーの真我光生氏。ここで宇仁菅氏の作曲量の問題が出てくることに。何故かと言うとその分を真我氏が補うかたちで量産しているからです。恐らくその数23曲と作曲量が全体の3分の1近くになっており外注という枠組みを大きく越えていまして。いわゆるいつもの明快なロック曲がある一方で閃IV「たそがれ緑道」「晴れ渡る空に」の延長線上にあるようなアコースティックな曲も今回たくさんあって曲数だけでも異例なのにこれまで園田氏や宇仁菅氏が作るような曲調(DENOUEMENT、A GOLDEN KEY CAN OPEN ANY DOORなど)の領域にも進出してしまっています。恐らく真我氏がこれまでのファルコムサントラを聴いてインスパイアされjdkメンバーのスタイルに合わせてきているのでしょうか。この曲数から分かるとおり真我氏は作曲速度が相当早いようです。社内の制作スケジュールを軽減するためにこのように重宝されているのか、それとも他の大人の事情があるのか、それかイースVIIIでのフレッシュなイースサウンドを再びということで期待掛けられ全面的に抜擢されたのでしょうかね。いずれにせよ宇仁菅氏の作曲数が割を食ってしまっているのは非常に残念。
というわけで曲とOSTの仕様には不満があるもののある程度は満足しました。やはりイースシリーズの音楽は最高だということを改めて実感。色々と不満もありましたがそれらさえなければさらに素晴らしいアルバムになってたのにとつくづく惜しまれます。イースXはメモリアルな節目のタイトルになると思いますが一体どうなることやら。楽しみなようで不安です。