ゲームをクリアしてから数ヶ月、だいぶ待たされてしまいましたがやっと「英雄伝説 創の軌跡 オリジナルサウンドトラック」を買うことが叶いました。今回もこれまでのサントラと同様に拙いながらもレビューしていきましょうか。ゲームクリアしてからの感想レビュー記事と同様に今回も本編の重大なネタバレはない筈です。

hajimari_ost_01.jpg

雑感

購入した初回限定盤は特殊パッケージ仕様。白を基調としたシンプルなジャケットですがホログラム加工の綺羅びやかさもあって美麗で格調の高い仕上がり。これは所有感を存分に満たされますし飾りたくなりますね。最近はすっかりハイレゾ配信やサブスクが主流ですがやはりこうゆう特典があるから自分はフィジカルメディアのほうが好きですし今後もCDが発売される限り買い続けることになると思います。

hajimari_ost_03.jpg

ジャケットのラピスの絵は実は既存絵の流用ですがセンス良くリデザインされていて使い回しを感じさせません。遠目から見ると銀色に見えるラピスのシルエットですが近くで色々な角度から見るとホログラム特有の千差万別な変化が楽しめます。ある意味この何色にも染まっていなさがラピスの今後を象徴しているかのようにも受け取れますね。そういった演出的な面も含めてここ最近のサントラジャケットでは出色の出来ではないでしょうか。そしてスリーブケースから取り出したCDケースがそのまま通常盤となります。通常盤のジャケットには盟主の絵が使われていてやはりこちらも流用ですが元々が美しい絵だったので野暮ったさは微塵も感じさせません。今回のアートワークはどれも良い仕事していると思います。素晴らしい。

あとスリーブケースの表面の紙質について。吸い付くような手触りとなっていて独特の加工がされています。画像では伝わりづらいと思いますが普通のよくある紙材質ではないことは確か。自分もこのようなスリーブケース加工は初めてお目にかかりますね。これは表面にホログラム加工を施すためなのでしょうか。結構コストが掛かっているのかも。

hajimari_ost_04.jpg

ブックレットは見開き3ページとなっています。曲目リストとオープニングテーマ「NO END NO WORLD」の歌詞と作中内で使われる曲「The Perfect Steel of ZERO」のコーラスの歌詞と外注スタッフの簡単なクレジットのみ。ファルコムサントラ恒例のシンプル・イズ・ベスト仕様ですね。最早ブックレットというよりはリーフレットみたいなものでしょう。そして他社のサントラには大体ある作曲者コメントは残念ながらありません。音楽に余計な説明は不要ですから。粛々と音に耳を傾ければ自ずと作曲者が伝えたいことがみえてくるはず。そしてやはり他社のサントラには当然あって然るべき曲別の作曲者クレジットもありません。自力で聴き分けてねっていうファルコムからのお題と思うことにしましょう。歌もの以外は曲別の演奏者クレジットもないですがこれは他社のサントラでも省かれている場合が結構あるので仕方なしですね。この辺りに関しては記事最後のほうで掘り下げていますのでご参考に。

hajimari_ost_02.jpg

次は音質について。前作イースIXは音圧がやや強め、低音も高音も過不足なく出ていてメリハリのある音質でした。まるで音像のブロックが眼前に迫るかのような迫真さでしたね。今回はというと普通でしょうか。イースIXみたいなパンチの効いたパワーはないですし重低音も少し引っ込んでいますが閃IIIみたいに大人しいこともなく閃IVみたいに仄暗く雑然とすることもなく普通に良い音質だと思います。ただ強奏時はやや荒れるときがありますかね。少なくともイースIXよりは落ちます。いずれにせよ細かく聴かなければ気にならないレベルです。

曲が終わってから次の曲に入るための余韻を味合うための曲と曲の間の余白時間は大体4、5秒となっていて適正ですね。ハイレゾ版は今回買っていないので閃I~IIIのように1秒なのか、それともイースVIIIのようにCD版と同等なのかは分かりません。試しにmoraの創の軌跡ハイレゾ配信ページの各トラックのタイムをCDと見比べたらハイレゾのほうが2秒ほど短いです。なので恐らくこれまでの閃I~IIIと同じ余白時間になっているかと思いますね。

あ、もちろんリピートはしてくれていません。脳内リピ余裕ってぐらい聴き込んでねってことなのでしょう。これはファルコムに限らず自分が他に贔屓いているガストもほぼリピートはしてくれてなくて(不思議シリーズ以降)とても残念です。良い曲はやはり一度ならずとも最低でも二度以上は続けて楽しみたいじゃないですか。もう一度再生ボタンを押せばいいのでは?ってのはお門違い。折角音楽に気持ちよく浸っているのだから分断されずに聴き続けたいんですよね。フェードアウト処理されてるのなら尚更です。

ちなみに今回フェードアウトせず終結部を持っているのはオープニングテーマを除くと「黎明の鐘」「ひとときの温もり」「レメディファンタジア -仲間とともに-」「Infinity Rage」「罪と罰と偽りと」「Heavy Violent Match」「The Perfect Steel of ZERO」でしたね。

曲別の感想

さて、能書きはこれぐらいにしてFalcom Sound Team jdkによって作られた楽曲の感想にいきましょう。Spotifyの配信リンクはこちら(Vol.1Vol.2Vol.3)。個人的なお気に入り曲にはマークを付けてありますがもちろん付けていないからといって気に入っていないわけではないです。

CD1 (64分47秒)

hajimari_banner_9.jpg

#1.NO END NO WORLD -Opening Size- ・・・今作のオープニングテーマとなる歌です。曲名はタワレコのスローガン「NO MUSIC NO LIFE」を彷彿とさせられますね。意訳すると”終わらない世界”って意味でしょうか。「未来は一人のものじゃないはずさ~♪」は今作のルートシステムを謳っているようにも受け取れる良い歌詞です。歌うのはjdkパフォーマー常連となった佐坂めぐみ嬢。芯の強い歌声なので歌詞に乗せた想いがダイレクトに伝わってくるのが美点。以前よりもさらに表現力を身に着けオープニングを飾るに相応しいボーカリストになったと言えます。そういえば東亰ザナドゥから続いた手描きアニメーションはなくなり自社制作による3Dアニメーションに。アニメOPだった閃IVと見比べるとお金が掛かっていない今作のほうがクオリティ高く見えてしまうのが皮肉なもの。やっぱりファルコムは無理して背伸びせず分相応の作りのほうが良いってことでしょうね。

#2.反攻の烽火 ・・・初出はプロローグのイベントにて。個人的にはVII組の象徴たる紅いの奪還イベント曲としてのほうが印象に残っていますね。曲の前半、機敏に動く溌剌としたオーケストラの盛り上がりがストレートに格好よくて心躍り、そして戦いに思い馳せるかのようなサビには胸熱くさせられ余韻込めるようなアウトロの切なさがまた泣かせます。まさに反攻の狼煙となる烽火になりました。オーケストラを使うと大概はいかめしい重厚なサウンドになりがちですがでこうゆうふうに颯爽とした曲を持ってくるのは流石です。

#3.The Destination of FATE・・・曲名通りみんなの運命の行き先を決めてくれた曲。初っ端からこうゆうアガる曲を持ってくるんだからズルいです。そしてこの運命が向かった先は次の曲が流れる状況として立ち現れ、さらに「”運命”という名の歯車」として未来のクロスベルを占うことに。今作の柱となる曲のひとつでしょうね。

#4.Zero Break Battle・・・ある意味、起承転結の起と結を締めてくれたボス戦曲になりました。困難に立ち向かう彼ら彼女たちに相応しいドラマチックで勇壮な曲となっていてこの曲がクライマックスのあの場面でも流れることを思うとプロローグの時点から感慨深く聴いてしまいますね。オーケストラの表現力はスケールが大きくダイナミックさに秀でているのでそういった魅力を思う存分堪能出来る曲です。サビのストリングスの響きとブラスの咆哮には思わず胸が熱くなり万感胸に迫るほど。

#5.陽溜まりにただいまを ・・・各チャプターの終わりやストーリーが円満に終わった際に流れる曲です。わだかまりが解け全てが浄化されたかのようにこの上なく天上的に響く音楽。清爽でロマンティックなメロディはひたすら心地良くてしみじみと耳を傾けてしまいます。暫しの休息は清らかで美しく、そして穏やかに、そんな陽だまりにただいまを。人と人との絆を確かめ合うあの場所に相応しい愛のこもった素敵な曲となりました。個人的にバラード系の曲ではこの曲が一番好きです。

hajimari_banner_8.jpg

#6.Long Awaited -Irregular Ver.-・・・終わりの始まり、全てはここから始まったエンディング曲。待ちに待ったこの瞬間のための爽やかな門出を祝うような曲なのに途中から運命の歯車が回り始めてしまい…。でも待ちに待った瞬間は遠くない、次に聴けるときが満を持してです。暫しそれまでのお預け。

#7.Crossbell Nostalgia ・・・零「街角の風景」、碧「新たなる日常」、閃III「籠の中のクロスベル」に続くクロスベルを賑わす市内曲。聴き心地の良い清爽で流麗なサウンドとなっていてこの曲を聴きながらならクロスベルマラソンも苦じゃないですね。さらに曲名通りノスタルジックな雰囲気も漂っていてクロスベルのこれまでの積み重ねもそこはかとなく感じさせてくれる素敵な曲です。

#8.今宵は宴と参りましょう・・・そしてこちらがクロスベル市内の歓楽街で流れる曲。一応は零「Arc-en-ciel」や閃III「歓楽都市ラクウェル」の系譜を受け継ぐジャジーで艶やかな音楽になります。中間部のピアノソロが聴きものですがサビのメロディはなんだか宴といいますがさながら今宵はそのままホテルに参りましょう的なイヤらしさが滲み出ているような気がしないでもないですね。ある意味場所柄それで合ってはいますが。あとおまけで例の金ガチャ開封時にも流れます。やはりイヤらしい。

#9.Section G.F.S.Ⅱ・・・閃IV「シンクロニシティ #23」Ver.2。今回も前回同様にビビッドなテクノサウンドがナイスな仕上がり。薄暗いダンジョンだけど逆にノリのいいダンサブルな曲調というミスマッチさが快いですね。一体何回潜らされるんだっていうジオフロントですがこうゆうゴキゲンなサウンドに浸れるのなら探索も心弾みます。閃IIIのジオフロント曲「Unplanned Residue」のフレーズを引用しつつも小気味よく疾走するBメロ辺りが爽快で好きです。

#10.Aim A Gun at the Bullet・・・人形兵器などそういった対象によく使われていた記憶の中ボス戦曲。テクノチックなイントロも相まって熱気のぶつかり合いというよりはどちらかというと手練手管の限りを尽くしたようなテクニカルな戦いをイメージしました。曲名的にも意訳すると「銃で狙え」になるのなら尚更イメージ通り。小洒落た余韻を残すサビ終わりのサックスがこの曲の良さを引き立たせていますね。

#11.Right on The Mark・・・定番の戦闘勝利曲。こちらも意訳すると「的を得る」でしょうか。曲の並び順的に銃で狙って的を得たってことになるのならバッチリですね。個人的にこの曲を聴くと今作やたら力の入っていたノエルの官能的な勝利ポーズが頭に浮かんでしまいますがw それはともかく歴代戦闘勝利曲の零「これが俺たちの力だ!」、閃「この手で道を切り拓く!」、閃III「Youthful Victory」と比べると今作はどことなく軽やかでポップになった気がします。個人的には今作の曲が一番スマートで好きですね。

#12.黎明の鐘・・・悲願の再独立宣言準備段階時の曲。トランペットが高々に鳴り響き春風駘蕩にどこまでも平穏な曲となるはずでした。チェロのメロディ以降はまだ困難な道のりが待ち受けているかのような哀愁を感じ取れてしまい決して穏やかには聴けません。それでも決して屈しない勇気と満たされ満たされぬ淡い想い、そういった健気さを感じる余韻に聴き入ってしまいます。

#13.悪夢ふたたび・・・定番の緊迫曲その1。確かに彼らはあの場で対峙し緊迫する状況でした。ホルンが鳴ってもやるせなさが残りエレキの雄叫びは痛々しく響き渡り不穏さと切迫度は有頂天に。それでも決然と前に進むかのように踏みしめていく双方の譲らぬこの想い、といった感じでしょうか。

#14.Sword of Swords ・・・今作やたら幾多もある中ボス戦曲のうちのひとつ。ライバル同士のバトル的な白熱した迸りを感じさせてくれるナイスな曲です。延々と謡い続けるヴァイオリンからはお互いの止まらぬ熱き想いを感じさせてくれました。サビへ雪崩込むようなパッションの迸りは聴いていて思わず手に汗握ります。個人的にはリィンルートのチャプター1で使われた場面が対戦相手だけあって印象深く残っていますね。

#15.Mysterious Element・・・事態が不穏に揺らめいたいときの異変曲その1。中間部で不気味に蠢くところはさながら深淵を覗いているかのようで事態の底しれぬ闇を感じさせます。地味で陰鬱とした曲ですが個人的に不思議と引き込まれる味わいのある曲ですね。

#16.Flash Your Fighting Spirit・・・主にフィールド上での汎用的中ボス戦曲として使われていました。まるでニワトリが鳴きながら駆け回っているかのようなエレキによるイントロがユニーク。これは目覚ましBGMとして効果てきめんなのではないでしょうか<コケコッコー! サビが鳴り止む間もなくやはりニワトリが踊り狂いフィーバータイム。何度も何度も聴かされた曲ですので今ではすっかりニワトリの真似が上手く出来るようになりました<コケコッコー! 曲名は意訳で「闘志を燃やせ」でしょうか。ニワトリがこんがりと焼けそうですね。そんな冗談はともかくとしてこちらもシンプルに格好良くてアガる曲です。サビでのエレキとヴァイオリンのハモリがまたエモいのです。

#17.LAPIS ・・・曲名同様主にラピスが深く関わるシーンで使われていましたがそれ以外にも少しアレンジされてゲーム起動時に流れたりラピス以外の重要シーン、特に最後のあのシーンでも流れたりとある種今作のテーマ的な曲でもありました。ガラス細工のように触れたら壊れてしまいそうな儚さに満ちた曲ですがたおやかで切なさと暖かみもありそれでいて後半では躍動感も感じさせられる…、改めてピアノのオーケストラにも勝る奥深い表現力を思い知らされます。そういった曲の後半に向けての生命力の高まりは彼女のあの展開を思えば必然的な流れでしたね。

#18.亡失われた魂・・・東西クロスベル街道やウルスラ間道で使われたいわゆる今作における街道曲です。いきなりの重々しく虚ろに響くイントロがなんとも印象的。そのあとも見通しは開けずまるで曇天のように灰色の情景が広がるのみ。暗中模索しながらも新たな壁にひたむきに立ち向かうさまを勇ましくも悲壮に描いているかのよう。でも鼓舞するように沸き立つベースは力強くてサビの切実なメロディは心に響きます。実はこのメロディはタイトル画面曲「今、創まりのとき」を引用しているのですがそういった意味でもなんとも言えない意味深さがありますね。初出は彼と彼女のシーンからでしたが確かにあそこから再び彼の反骨精神が創まりました。そのあとも色々な街道で汎用的に使われていてメインとなる街道曲となりましたね。

#19.Stand Up Again and Again !・・・零「Get Over The Barrier!」、碧「Seize The Truth!」の魂を継いだロイドルート通常戦闘曲。やはり熱血漢ロイドたちにはこの粘っこくも暑苦しい(褒めてます)曲調がうってつけ。しなやかさの中に決然とした情熱をみせるストリングスにグッと心奪われこぶしを利かせるように唸るエレキにも胸が熱くなります。何度も何度も立ち上がるロイドたち、ひいてはクロスベル自体をも象徴するようなこれ以上ないガッツ溢れる戦闘曲でしょう。

#20.ひとときの温もり ・・・毎作欠かさずある恒例のアコギでうららかに奏でられる曲です。基本は村の中で流れる曲ですが暖かなイベントシーンでもよく流れていて素朴で寄り添うような優しい響きはそういったシーンで心地よく耳に語りかけてくれました。ただどことなく今回は寂しさ成分が上回っているように聴こえ流れる度にちょっと切なくなったりも。なんだか少し孤独を感じてしまいますね。穿った見方ですが村社会や人間の奥に潜む寂寥とした侘しさも表現しているのかもしれません。

#21.Like a Whirlwind ・・・リィンルートでは凝縮された熱気が颯爽と駆け抜ける痛快極まりない最高の通常戦闘曲が待っていました。メロディ的にもアレンジ的にも閃IV「Burning Throb」の魂を受け継いだ曲になりますね。のっけから早くも沸き立つAメロ、中間部ではピアノ、チェロへとしなやかに歌いホットな余韻を残したあと一気呵成にサビへ雪崩込む展開は胸に迫ります。サビからは意気揚々とした余裕が垣間見えリィンたちの精強さを伺わせられますね。そんなサビが立て続けに響き渡るとさらに無類の熱い高揚を感じられまさに曲名通り疾風迅雷の勢い。大いに燃え上がらせてくれます。一連のスケール大きくドラマティックな幾多の冒険をくぐり抜けた彼ら彼女たちに相応しい風格を備えたとびきりの戦闘曲といえましょう。

#22.レメディファンタジア -仲間とともに-・・・閃III「レメディファンタジア」のアレンジ。最早エリオットのテーマ曲みたいなものでしょうか。初出はエリオットと再会したときのミニ演奏会。原曲はソロのヴァイオリン曲でしたが今回は重奏アレンジされていてそれだけたくさんの友情がこれまでに育まれてきたのかと思うと嬉しくも頼もしいですね。音楽が運んだ絆と言いますか束の間の和やかな調べには聴いていて頬が緩みます。

#23.Crossing Causal Lines・・・今作の目玉要素たるクロスストーリーのメニュー画面曲。アンビエント調のテクノサウンドとなっていてこの何色にも染まっていないサウンドカラーがプレイヤーにはまだ真っ白なこれから待ち受けるストーリーに相応しいといえるのではないでしょうか。アップテンポに音符が舞い踊りスリリングに絡み合う様子はジェットコースター展開が多い軌跡シリーズらしくもあります。

hajimari_banner_19.jpg

#24.創まりの円庭 ・・・今作において全ての中心となった場所の曲。イントロのチャイムのような響きと天からの声が合わさるとなんとも言えない虚ろな移ろいを感じたものです。静謐で淡々としつつも切なく盛り上げてくれる曲調ですがこの場所だからこその黙々とした作業や会話を妨げない節度あるサウンドに仕上がっているのは流石の塩梅。「Crossing Causal Lines」同様にどちらかというと淡くニュートラルな色合いになっているのがまだ見ぬ冒険の創まりを予感させます。

#25.Glittering Mirage ・・・やはりこちらも目玉要素、夢幻回廊フィールドでの曲となります。綺羅びやかな蜃気楼という曲名通り鮮やかなシンセサウンドがとても聴き心地良くて探索欲の向上に一役も二役も買ってくれました。あまり主張が強すぎないメロディラインになっているのも人によっては何十時間と聴き続けることになるかもしれないこの場所の曲としてはうってつけ。それでいてリズム隊はしっかり力強くて鼓舞させることも欠かせません。求められる状況に適した理想的な曲といえるでしょうね。個人的に堅牢な造形の中に儚げさと憧憬する想いが感じられてとても好きな曲です。曲の終わりのほうではまるで降り注ぐ光の中に手を伸ばしてなにかを掴み取ろうとするかのような、そんな情景が目に浮かびました。噛めば噛むほど味わいが出るようなタイプの曲だと思います。

#26.Infinity Rage・・・創の軌跡の公式動画にて一番最初に流れた曲のはず。当時はシューティングのミニゲームがフィーチャーされてたこともあっててっきりそのミニゲーム内で使われる曲かと思っていたものでした。イントロからファルコムらしいクサメロ感放出。ギンギンギラギラにエレキが唸りシンセも鮮やかに飛び交い丁々発止のせめぎ合いを楽しめます。展開も起伏に富んでいて雑魚戦を大いに盛り上げてくれましたね。こちらはファンがファルコムに求める要素全部盛りといったところでしょうか。こんなアガる曲なら曲名通り無限に夢幻回廊で暴れられますね。

#27.Wind-Up Yesterday ! ・・・話題を呼んだCルートの通常戦闘曲がこちら。真新しい新キャラには新サウンドスタッフによる新曲で新たな息吹を。優美に奏でられるピアノから紡がれるサウンドは実にエレガントでしなやか。このピアノの音が曲全体を支配していて魅惑のスタイリッシュさを印象付けてくれました。エレキとドラムは決して威圧せず軽快に熱気を刻んで合間を彩るシンセは瑞々しい詩情を加えてゆく…、さながら蒼穹の空のもと妖精のように駆け抜けるようで曲者揃いの彼ら彼女たちにこの上ない相応しさでしょう。これまでの軌跡シリーズ伝統?ともいうべきソフィスティケートな戦闘曲サウンドを受け継いだ曲でもありますね。ところでこの曲名はどう訳すのでしょう?Wind-Upとは巻き上げるか終わりにするとかの意味合いがあるみたいですが。昨日を巻いてけ?それともそのまま訳して昨日の風を起こす?さすがにこの独創的な曲名には海外のネイティブスピーカーなファルコムファンも苦笑の模様。

#28.Purgatory Scream・・・煉獄の悲鳴という禍々しい曲名通り幻獣などそういったおぞましい相手との戦いでよく使われていたボス戦曲です。ロック曲が多い今作の戦闘曲ですがこちらは正統派の王道を征くオーケストラサウンドで威圧するように咆哮。そしてエレキもこぶしを利かせてアピール。エネルギッシュなパワーが豪放に大地に響き渡り血湧き肉躍る戦いを演出してくれました。

#29.NO END NO WORLD・・・オープニングテーマのフルバージョンです。新たに聴けるようになった間奏ではエレキと近年のファルコムサウンドでは常連となった楽器のサックスが華麗に饗宴。良い曲とそして良い歌声をたっぷり堪能しましょう。

CD2 (66分34秒)

hajimari_banner_5.jpg

#01.蒼の大地に生きる者・・・今回久々に駆け回れるようになったノルド高原。閃時代のノルド曲「蒼穹の大地」と比べると余裕ある表情になったのが物語を幾つも織りなしてきたみんなやシリーズ自体の熟成ぶりが伺えます(反面曲名は野暮ったくなりましたが)。それでいてノルドの大地らしく牧歌的ながらも力強い輝かしさを失っていないのも素敵です。しかし今作は以前とは比べ物にならないぐらいフィールドが広大になったので必然的にずっと聴き続けることに。でもこうゆう聴き心地の良いサウンドになってくれたので長時間の探索も苦じゃなかったですね。

#02.Stake Everything Strategy ・・・とある軍の侵攻とVII組の反攻時などで流れた近年お馴染みとなった交戦イベント系の曲です。他にボス戦曲としても何度か使われましたね。奪還イベント曲「反攻の烽火」と同様に沸き立つような熱気の迸りが実にエキサイティング。あちらはパーカスでしたがこちらではギターで沸き立たせてくれて聴いていて思わず手に汗握ります。それでいてサビに向けて勇壮な胸の高鳴りも感じさせてくれるストレートな格好良さも魅せてくれます。サビ部分のストリングスとブラスのハーモニーなどはエモさの極みでしょう。最初から最後まではち切れんばかりのハイテンションで駆け抜ける実にファンタスティックなオーケストラ!ブラボーです!

#03.流麗闘冴・・・対人場面でよく使われていた印象の中ボス戦曲。コロコロと掛け合うようなイントロこそキャッチーですが主部は流麗にうねる情熱の迸りが聴かれます。ヴァイオリンのメロディの節々に聴かれる軋みがお互いのぶつかり合う火花をあらわしているかのようで面白い試み。ヴァイオリンとエレキ、双方決して引かぬ闘志の牙という感じでしょうか。

#04.鈍色に這う・・・どこかオリエンタルなサウンドが魅力的で初出で使われた古戦場という幽世的な場面にはぴったり。ちょっとドライで響きの多い独特のサウンドも場所柄、効果的に働いていました。サビ前の少し思い耽るようにたおやかに歌うチェロの部分が味わい深くて聴き入りアンビエントに木霊するパーカッションも幻想的な雰囲気を盛り上げてくれます。古戦場の他にも地下貨物路線、監視塔、マインツのトンネル道などダンジョン系フィールド曲として使われていて使用頻度は多いほうでしたね。

#05.Be Caught Up !・・・人によっては戦闘時に聴くことは叶わずずっとお助け系のイベント曲と思うことになる曲です(実際自分もそうでした)。でも捕まえろ!という曲名からメインはやはりイベント用なんでしょうか。それはともかく劣勢時の戦闘曲というと閃「Impatient」「劣勢を挽回せよ!」などのように粘り腰でズンドコした曲というイメージがありましてサントラでも正直あまり聴きたいという感じにはならないのですけど今回はひたむきさがありながらもお洒落にキマっているのが特徴。間奏部のベースとサックスがこれまた魅惑的。サビはエールを送るように歌い上げてゆく。これなら劣勢になっても調子狂うことはないですね。逆に言うとこれまでの中ボス戦曲と比べてもあまり差異はないですが。

#06.Breeding Innumerable Arms・・・某兵器工場にて使われた曲。ゲームの進行上この曲のイントロをやたら聴かされてしまいました。正直あの辺りのギミックはチグハグしていたようにも。それはともかく場所が工場だけあってメカニカルでテクニカルなシンセサウンドで埋め尽くされていてあの場らしい雰囲気を作ってくれました。それでいてアンビエントに終始したりはせずサビはきっちり歌ってくれてファルコムらしさも失っていません。

#07.Pyro Labyrinth・・・とある工場からトンズラするときに流れた曲です。脱出までの制限時間が設定されていたので焦らされました。余裕はあったとはいえこの手のギミックは昔から苦手ですね…。曲はけばけばしく弾け散らすエレキやシンセが燃え盛るメカメカしいあの場所の雰囲気を醸し出していて早めのテンポも相まって焦燥感を焚きつけさせます。ちなみにPyroとは焦げ付いたという意味があってまさに曲名通り。さらにパーカッションも尻に火を付けるかのように血気盛んに荒ぶっていてスリリング。文字通り早くこの曲から抜け出したくなるほど切羽詰まらされて狙い通りでしょうか。でも曲は手練手管色々な演出が施されているので抜け出したくないほど病みつきになる面白さです。

#08.影の見えざる手・・・汎用的な異変・異常事態曲です。リバーブを深く利かせたドラムとピアノが曲を支配、どこか小洒落た雰囲気が特徴的で異変に遭遇しても気取った感じなのが幾多も修羅場を掻い潜り抜けすっかり精強になった彼ら彼女達らしくもあります。ある意味永遠の厨二病な彼ら彼女たちに相応しい格好つけたクールさともいいますか。それでも思索するかのようなサビのメロディからはまだ思い悩む年頃のメンバーの溜息が聴こえてきそうです。

hajimari_banner_15.jpg

#09.Raindrops With The Wind ・・・暖かかったり泣けたりとここぞというときによく流れていて一連のシリアスイベントの中では聴く頻度は高かった曲。今作のそういった叙情面を受け持っていましたね。ただ自分の中では初出となった二人の混浴曲という印象が強いのですがw ピアノ、フルート、ストリングスのみというシンプルな構成となっていますが小編成なだけによりダイレクトに想いは伝わってきます。ポップスライクなメロディラインもとても明快。シーンと共に記憶に残りやすいこともあってバラード系では結構人気の曲になっているのではないでしょうか。自分も大好きな曲です。

#10.罪と罰と偽りと・・・重めのシリアスシーンで使われていた曲。聴いているだけでズーンという物悲しい気持ちになります…。そうゆうわけで正直なところどんよりした面持ちで見て聴いていたので意外と記憶には残りづらかったりします。やっぱり人間、辛いシーンは一刻も早く忘れたくなるんですよね。でも希望の光が見えようとしているような後半のメロディは心に沁み入ります。

#11.Slight Suspicion・・・異変イベントや調査シーンでよく使われていて閃IV「潜入調査」に位置する曲ですね。水泡のようにポコポコと鳴る音が事態の奇怪さを表しているかのようで面白い表現です。

#12.木霊の道 -創Ver.-・・・閃IIIからおなじみとなった「-○Ver.-」シリーズ。今回リファイン元として選ばれたのはマインツ山道曲となる零「木霊の道」。そのまま使い回す方法もあったと思いますが結構もう古いサウンドになっているので手を入れたくなったのでしょう。原曲と比べて色鮮やかさが減少した分、山の空気感や茫洋さ、自然の静謐さが醸し出されていてよりいっそう山道の雰囲気が増したように思います。足し過ぎず引き過ぎず、旧曲ファンも納得のいく良い塩梅となっているのではないでしょうか。

#13.Hide And Seek By Myself・・・遂に入ることが叶ったローゼンベルグ人形工房内のダンジョン曲です。ただイベントが挟まる度に別ルートの「Breeding Innumerable Arms」と盛んにスイッチされて流されていたのでやたらイントロだけ聴く機会が多かったですが。人形工房での曲ということでやはり面妖でおどろおどろしさがありどこか神妙な面持ちにさせてくれるような曲調。後半に向けてひたすらメロディがリフレインされていくとどこか浮遊するような不思議な感覚に襲われ感興をそそられます。それでいて強靭に打ち込まれるドラムと絶えず鳴り響くシンバル、ベースは鼓舞するように熱く盛り上げてくれて士気も高めてくれました。キャッチーな特色がある曲ではないですがどこか非現実感があり抗えない魅力のある曲。そしてこの曲名は後半待ち受けるあの展開を思うと意味深いです。

#14.鉱山町マインツ -創Ver.-・・・今作2つ目となる零の軌跡同名曲からのアレンジ。とはいえやはり基本的にアコギがサウダージに響き渡るサウンドなのは変わらずですが新アレンジのほうがよりインティメイトな雰囲気になってしっとりとしていますね。ギターも巧みになりつつも手触り感も増して柔和で繊細。どっぷりと暖かいサウンドに浸かれるようになりました。

#15.昏き鐘の残響・・・入り組んだ構造と辛気臭さと敵の厄介さから恐らく苦手な人は多いと思われる月の僧院の曲です。ただ以前のようなクォータービュー時代から比べると攻略はしやすくなりましたけどね。音楽は薄暗いダンジョンに相応しくパーカッションが木霊するアンビエント成分多めな曲になっていてプレイをいたずらに邪魔しない良い意味での印象の薄い仕上がりです。零時代の僧院曲「鳴るはずのない鐘」と比べて大人しくなりましたがそれだけみんなががむしゃらになる必要がないほど大人になったってことなのでしょう。

#16.激烈!撃滅!ミシュナイダー !!・・・曲名からお察しの通り軌跡シリーズのマスコットといえば…との戦闘曲です。一体どうしてこうなったというシチュエーションですがあれでも真面目なのですよきっと。というわけで音楽もふざけた曲名に相応しく支離滅裂に乱痴気騒ぎ起こしています。

#17.Maliciousness in The Mirror ・・・そろそろあそこは取り壊したほうがいいのではという例によってまたしても呪われてしまった鏡の城。それはともかく神秘的な異彩を放つあの場所に相応しい幻想的な雰囲気に包ませてくれる曲です。それでいて切なくも奮い立たせる高揚感があって彼との対峙が迫っていることも予感させてくれますね。使われるのが終盤ということもあり小粒ながらもどことなくラスダン感を感じさせられもした印象深い曲です。

#18.NO END NO WORLD -Instrumental Ver.-・・・オープニングテーマのインストバージョンです。佐坂嬢の歌はピアノやサックス、エレキに置き換わっていて別の切り口で盛り上げてくれます。ひとつの曲でボーカリストによる歌と楽器による歌、両方楽しめるのはお得ですね。

#19.零の邂逅 ・・・いわゆる外の理との対峙時によく使われた曲ですがプロローグの後日談的なシーンでも流れました。確かに意味のある使用タイミングでしたね。神秘的なサウンドの中に静謐な表情や沈潜とした表情、そして崇高さも漂いそういったシーンに相応しいサウンドとなっていて今作の超常的な部分を一手に受け持った曲でもあります。無垢で清楚な響きのコーラスには感銘を受けそのあとのピアノによる憂いを帯びた深い響きのメロディには胸を打ちます。心が洗われるように浄化される実に美しく儚く深い音楽。このような素晴らしい音楽が生まれそして出会えたことに最大限の感謝を。

#20.さざめきの途路・・・アルモリカ古道やノックス森林道で使われた街道曲。重圧がのしかかるような「亡失われた魂」と違いこちらはチャーミングなイントロが印象的で主部も軽快。あの辺りの街道らしく青空のもと意気揚々と駆けていくかのようで心弾みますがでもそこはかとなく拭い切れない悲壮感も漂っていて今作の展開を物語っていますね。

#21.Twilight Hermitage・・・あの拘置所内の曲ですね。普通は牢屋というと陰鬱とした埃っぽい曲になりそうなものですがそこはファルコム、プレイを妨害するぐらいに音楽がこれでもかと主張してきます。地の底から黒光りしたエネルギーを放出するエレキ、乱れ咲くように打ち鳴らされるドラム、そこに流れ込むメロディアスなシンセの彩り。なるほどこの場に求められる音楽とはこうゆうものだと強く納得させられました。思い込みや価値観の逆転勝利ですね。エルミタージュ=隠れ家という名前を付けるセンスにも乾杯。

#22.Heavy Violent Match・・・スウィン・ナーディアと因縁深いあのキャラと、そしてリィンたちと腐れ縁ともなってきたあのキャラと、さらに夢幻回廊拠点の要素となる試練の扉での戦いと、スペシャルな戦闘曲となっています。まさに悪役が出てくるかのようなおどろおどろしいイントロを経てそのあともお互い虎視眈々と獲物を見定めているかのよう。合間を彩るチェンバロがまた妖しげなムードを演出してくれます。じわりじわりと丁々発止のぶつかり合いを予感させながら遂にエレキが鋭く切り込みキックは踏み鳴らされボルテージは最高潮へ。両者譲らぬ熱き血潮が火を吹きつばぜり合いの接戦を盛り上げてくれました。最近は打ち込みのエレキも本物と見紛うほどエモーショナルに響きますがやはり人の情熱が込められた演奏には叶いませんね。

#23.今、創まりのとき・・・今作のタイトル画面曲は力強くも儚さを感じさせる曲となりました。想い悩むも真っ直ぐひた走るかのような音楽にはそれぞれの想いが凝縮されていそうで色々と感慨深く聴いてしまいますね。そう、この曲から全ては創まっていきました。サビ後の余韻を込めつつも跳ねるようなフレーズに皆の決然とした強い意志の現れを感じます。

#24.Invisible Hilly Country ・・・夢幻回廊内のギミックのひとつ、幻想丘陵というフィールド上での曲になります。個人的にイントロから続くリズムと音色はどことなく空の軌跡the3rd「動かぬ世界」を彷彿させられましたが今作はある意味the3rdと似たテイストを持つ作品なのでもしかして使用場面を意識しての曲作りなのかなとも思いましたが果たして。それはともかく曲は軽快なテクノポップという趣きがあって爽快。ああゆうシチュエーションだとどうしてもミステリアス系に寄った曲調になりそうなものですが敢えてこうゆう軽めの曲にしたセンスはナイスですね。

#25.Emergency Order・・・夢幻回廊の最奥で戦うことになるボス戦曲ですが緊急指令という曲名通りボス戦の他にスクランブルレイド戦でも使われました。タッタカタッタカとスネアがけたたましく鳴るイントロから最初聴いたときはオーケストラ調でくるのかと思わせられましたがやはりロックで攻めてきました。裏でこっそりと鳴っているギターの響きがこの場所だからこその怪しげな雰囲気を醸し出していて面白いアイディアです。

#26.Golden Fever ・・・幻想丘陵同様に夢幻回廊中に偶に現れるボーナスステージの曲。クールで疾走感のあるテクノに仕上がっていてとてもゴキゲンなサウンドです。ダンサブルなサビは思わずリズムを取って踊り出したくなっちゃいますね。このままクラブとかで流しても違和感無さそうな完成度です。個人的なイメージとしては「Invisible Hilly Country」がメジャーコードでどことなく和テイストを感じるのに対しこちらはマイナーコードの洋テイストでしょうか。似た者同士の曲ですがどちらが好みかと言われたら難しくてどちらも好きとしか言いようがないです。

#27.POM's Paradise ・・・夢幻回廊、そこにポムたちの楽園はありました。相手に相応しく軽快で愉悦に満ちた曲調になっていて耳を楽しませてくれます。それでいて小洒落たジャズ調になっているのも粋な図らい。カラッとしたブラスの響きも快くさながらビッグバンドによる陽気な演奏を聴いているかのよう。カジュアルなサウンドに合わせポムたちに翻弄されながらもリラックスしたバトルを楽しみましょうか。

#28.Bad Dream Invasion・・・夢幻回廊最奥で戦うことになるボス戦曲その2です。「Emergency Order」はスネアによるイントロが印象的でしたがこちらはメカニカルなボイスが印象的。一方はギターにより妖しげなムードを醸し出し、方やこちらはロボボイスがその役割を担っているのでしょうか。ロックンロールしていてもいびつに捻くれていていかにも夢幻回廊内のボス戦といった趣きの曲です。

CD3 (61分57秒)

hajimari_banner_10.jpg

#01.暗澹たる世界・・・「悪夢ふたたび」に続いて定番の緊迫した場面で流れる曲その2。最序盤から早くも流れていましたが今作も御多分に洩れず緊張を強いる展開の連続なので聴いた機会は最も多い曲かもしれませんね。世界にとってはほんとは流れないほうがいい曲なんです。それでも勇壮にホルンが響き渡る後半になると否応なしに熱き万感の想いが頭を駆け回ります。そして「悪夢ふたたび」にはあった最後スタッカートで跳ねる強奏がありません。世界は暗澹たる雲行きのまま。

#02.The Road to All-Out War ・・・いわゆる各種逆転劇イベントの他に最終作戦開始、つまり全面戦争突入時にも流れた曲です。力強いイントロからして痛快。Bメロの清々しさは心地よくサビ後のアウトロでは晴れやかな余韻が地平線彼方まで響き渡るかのよう。みんなの起死回生を輝かしく盛り上げてくれました。最終作戦開始後、そのあとの自由行動時と戦闘時でもシームレスに流れ続けて高揚したテンションをキープ。常に熱気ムンムン立ち昇り、普通の会話時にはさすがにちょっと喧しいですがその喧しさが常に賑々しくも熱い太陽のような彼ら彼女たちらしくもあるのでしょう。

#03.ひとかけらの光明 ・・・いわゆるシリアス系のイベントでよく流れていた曲。そういったシーンでは「Raindrops With The Wind」同様に流れる頻度が高かった曲ですね。切なくも悲しくそれでいてどこかひたむきな強い意志を感じる音楽。ピアノとヴァイオリンのみのシンプルな曲ですがやはり編成が最小限な分、想いがダイレクトに伝わってくる良さがあります。思う存分にヴァイオリンが歌い上げたあと可憐に跳ねるようなピチカートが効果的。一本調子にならない良いアクセントです。彼女の心情が痛切に歌い上げられた良い曲です。

#04.KERAUNOS -Fear and Hatred-・・・閃III「巨イナル黄昏」、閃IV「千年要塞」に続く定番の恐るべき驚異の出現曲。こうゆう曲が流れ始めるといよいよクライマックスが近いのを実感しますね。ちなみに「KERAUNOS」とは古代ギリシア神話の神、ゼウスの別名らしいです。雷光という意味もあるようでなるほどあの展開を思うと頷ける曲名ですね。そして恐れと憎しみを指すのはあのシーン…。

#05.運命という名の歯車・・・チャプター4にてリィンたちが真実の一端に触れたときに、そしてラスダン出現後のイベント、それを受けてのクロスベル市内のフィールド曲にもなりました。この段階で「The Destination of FATE」が引用されることの意味を思うと感慨深く聴いてしまいますね。プロローグのときとは違う状況ですが運命という名の歯車はあの時から回っていました。前半こそは重苦しく沈痛な雰囲気が支配しており左右から聴こえるシンセ音がいっそう侘しさを加速させますが徐々にみんなの闘志が静かに沸き立ってくるような、暗中模索しながらも一筋の光が差してくるかのような後半の展開は心に沁み入ります。

#06.Reverse Babel ・・・いわゆる今作のラスダン曲です。ラスダンだからといって血湧き肉躍るような勇ましい曲調ではなく静かな闘志を秘めたような曲になっているのがニクいですね。そんな荘厳さで早る気持ちを落ち着かせるも徐々に抑えきれない熱気が沸き立って昂ぶりをみせてくる展開は堪えられません。全てのクライマックスが近づいていることを如実に感じさせてくれました。ラスダン曲としては地味かもしれませんがこれは中々の滋味豊かな名曲だと思いますよ。

#07.The Perfect Steel of ZERO・・・創の軌跡予告動画でも一部流れましたね。本編での初出はとある騎神の初登場シーンでメインの使いどころはクライマックスを飾る戦い、つまりラスボス戦の曲です。オルフの「カルミナ・ブラーナ」を彷彿とさせるコーラスの猛々しい咆哮を含んだ壮大な曲調はありがちといえばありがちですが意外とこれまであまりなかったですね。相手に相応しく尋常ならざる壮絶なサウンドで畏怖させてきますが後半から奮い立たせるように勇ましく盛り上がっていく展開がドラマティックで実にファンタスティック。このダイナミックさこそオーケストラ&コーラスサウンドの醍醐味でしょう。

hajimari_banner_24.jpg

#08.優しさを未来に託して ・・・もう一つの因果との対峙や彼の自暴自棄を救う際に流れた曲です。色々とやり切れない気持ちで想いが込み上げてきますが人と人との繋がりがまさに未来に繋がっていきましたね。そんな切なくも優しいシーンを彩ってくれた素敵な音楽です。時を感じさせるオルゴール、優しく語りかけるピアノとヴァイオリン、そして讃歌のように響くコーラス、全てが優しい世界、そして託されるこの想い。

#09.Life Goes On ・・・あれからの後日談も余韻を込めて。色々とありましたがそれでもみんなの人生は続いていく、そんなロマンティックな気分にさせてくれました。この曲も本当にメロディとアレンジが素晴らしくてリリカルでポエジーな魅力に溢れています。切なくも美しく燃え上がるサビの部分が特に好きです。「優しさを未来に託して」同様に溜息が出るほどに美しい天上の調べ。こんな音楽を聴きながらプレイ出来たのだからほんと幸せでしたね。

#10.高らかに、誇らしく ・・・ユーモラスに響くコントラファゴットのイントロを明けるとみんなが乗り越えた先に晴れやかな未来が待っていました。溌剌とした高揚感に溢れる曲でさながらはにかむ彼にエールを送っているかのよう。ついつい微笑ましくもみんなの笑顔が嬉しいあのシーンを思い出してしまいます。一連の「優しさを未来に託して」から始まるこれらエピローグ3曲は尽く自分の琴線に触れさせてくる素晴らしい音楽でした。深い感動を届けてくれましたね。

hajimari_banner_25.jpg

#11.キセキの旅路・・・今回は歌ものはOPだけ、EDはインストゥルメンタル曲になりました。個人的には歌詞という決められた情報が与えられる歌ものよりこういったインスト曲のほうがプレイヤーの想像を掻き立てられ感慨に浸らせてくれて好きですね。予算の都合かスケジュールの都合か分かりませんがこうゆうかたちにしてくれたファルコムの英断に感謝です。

#12.鋼鉄牙城 ・・・VII組といえばあの…っていうお馴染みの施設で使われる曲ですが実は本編ではお預け。曲自体も前半で溜めてから後半で一気にエモいメロディが流れ込む展開で使用場面同様焦らしプレイをしてくれましたね。曲調的にはある意味「Section G.F.S. Ⅱ」オルタナティブVer.といいますか、こっちがジオフロント曲だったとしても違和感はあまりありません。どちらも同じメカメカしいダンジョンですし似るのも必然的かもしれませんね。個人的にこの曲のサビのメロディラインはとても好きです。シンプルに高まります。

#13.穏やかな時間・・・エピソード内においてまさに穏やかなシーンで使われていたどこまでも平穏で安らぐ音楽です。アコーディオンの侘しい音色がまた心地良いですね。あの大陸にこのような波風の立たない平和な音楽がずっと流れ続けられる日が来るといいのですが。使用機会は少なかった曲ですがAメロからどことなく東洋的なメロディを感じたのもあって結構印象に残っています。正直今作の曲の方向性からは若干浮いていたような気がしないでもないですけどね。次作に噂されている共和国編の曲としたらフィットしたかもしれません。

#14.Something Luxury…?・・・初出は裏通りの名物おばさん初登場時。図らずしもある意味彼女のテーマ曲になってしまいました。他には「軌跡でポン!」のタイトル画面曲として、さらにエピソード内であの人の音頭?としても流れましたね。曲自体はお洒落なジャズなのですが初出時のインパクトと音頭のせいで自分の中ではコミカル系の曲に属してしまいました。合間にカッー!っとアクセントを添えるビブラスラップは効果的ですがどちらかというとバラエティ的なイメージが付きまといますね。とはいえアダルティな大人の色気を感じる官能的なサウンドはムード満点。このセクシーさは抗いがたい魅力。曲名通り贅沢かは分かりませんが偶にはこうゆう息抜きも良いです。

#15.Challenger Invigorated・・・エピソード内にあった活気あふれる挑戦者たちがしのぎを削る武術大会を盛り上げてくれた曲です。もしかして使用されたのはあのシーンだけでしょうか。1シーン1曲だけってのもあり得る今作の贅沢な音楽の使い方のひとつですね。イントロから鳴り続ける峻厳なストリングスの動きとしなやかなヴァイオリンのコントラスト、後半のトイピアノで少しセンチに振り返るかのような展開が良いですね。使用場面は限られますが意外と耳に残る曲です。それだけメロディが立っているという証でもあるのでしょう。

#16.このあと美味しくいただきました ・・・ミニゲームのスイカ割りの曲です。ユニークな曲名はTV番組とかでよくある「このあとスタッフが美味しくいただきました」が元ネタでしょうね。真夏の燦々とした日差しを感じる陽気で楽しい曲に仕上がっているのがナイス。束の間のエンジョイ気分に相応しい曲になりました。賑々しいサビを挟むAメロとアウトロの余韻込めたメロディが情緒あって特に好きですね。しかしスイカ割りとはフィクションの海水浴ではド定番過ぎて逆に今どきやらないようなネタなので新鮮でした。

#17.波間に弾む心 ・・・こちらもミニゲーム曲。バナナボートに乗ってるときの曲となります。トロピカルな場面に相応しく愉悦感あふれるゴキゲンなサウンドとなっていて切なくも爽やかなピアノのメロディライン、涼やかな音色のシンセ、そしてハモンドオルガンの音色も素敵でマリンスポーツ感をバッチリ演出。心弾ませてくれました。あのシチュエーションでしか流れないのがちょっと勿体ないぐらいの良い曲でしたね。

hajimari_banner_3.jpg

#18.Twinkle Attack・・・ユウナたち正気か?いやむしろファルコム正気か?と言わざるを得ないあの一連のイベントからの「魔法少女まじかる☆アリサ」ステージ曲。いや決してコスプレもののキャラクターショーではないはずです。しかしまさか王道RPG内で3Dシューティングをする羽目になるとは思いも寄らなかったですね…。ま、是非はともかくとして音楽はシューティング的なサウンドに…いやそうゆうわけでもなくいつものノリでしょうか。空を切り裂くようにシンセが切り込みコーラスが壮大に盛り上げそしてサビではロックンロールな熱情も感じられてシチュエーションとは裏腹に曲はエキサイティングなノリで楽しませてくれます。

#19.Rapid Wind ・・・使い所としては機甲兵シミュレーターの「プロジェクト・ティルフィング」がメインでしょうか、他にまじかる☆アリサのステージ曲としても使われました。イントロからラテンのノリで活気づいて主部もお洒落にキメてきます。重々しいはずの機甲兵ですが曲はスタイリッシュに軽快に楽しませてくれますね。Rapidだけあってアップテンポに捲し立てるスネアが小刻み良く痛快なグルーヴを生み出していてサビ前の音階駆け上がっていくところが特に最高です。

#20.Magical Revolt・・・まじかる☆アリサの最終ステージ曲。ご丁寧にステージ毎に曲まで変化していて一体どんな本気の使い方なんでしょう。まじかるたちの反乱という曲名もあってかシンセサウンドから一転してオーケストラがアグレッシブ且つ壮大に響き渡る曲となっていて彼女たちの活躍に華を添えて盛り上げてくれました。合間に断続的に鳴り響く銅鑼が熱戦を彩る良いスパイス。サビのメロディラインもそのまま歌になってしまいそうなエモさ。こういったミニゲームの曲だからといって決して抜かりはないです。彼女たち同様に音楽も本気。

#21.Roar of Evil Spirits・・・そして最後に控えるはまじかる☆アリサのボス戦曲。威風堂々と勇ましい軍楽調の音楽となっていますが忙しなく様変わりする展開がボス戦の逼迫感を演出してくれます。合間の儀式を司っているかのような妖しげなコーラスも効果的。まさに悪霊の咆哮でしょうか。しかしアプデ前はこれほんとにEASY難易度か?ってぐらい敵が固くて一向にゲームが終わらず苦しみましたね。幸いアプデで適正な難易度に調整してくれましたが。それまでは延々と聴き続けることになっていた苦い思い出の曲でもあります。ちなみにこれらのミニゲーム曲はサントラ3枚目最後のほうに全部纏められていて同じくミニゲーム曲がたくさんあった空the3rdと似た構成になっています。いっそ下の2曲を押し上げて本当に最後の方に位置する構成にしたほうが曲の流れ的には良いような気もしますがどうでしょう。

hajimari_banner_12.jpg

#22.夢幻の彼方へ ・・・追加アップデートで出現したある意味真のラスダン音楽は夢幻回廊のアップテンポなシンセサウンドとはうって変わって桃源的で侘しい雰囲気に満ち溢れた曲になりました。物憂げにメロディを紡ぐヴァイオリン、これまでを振り返るようにノスタルジックに響くBメロ、そして感傷を振り切り決然と高揚していくかのように情熱渦巻くサビ。壮大の最後の旅路を彩るに相応しい深い余韻を味合わせてくれる曲です。まさに夢幻の彼方へいざなってくれました。実質的なサントラ最後の音楽を飾るに相応しい音楽的にも深みのある素晴らしい曲だと思います。

#23.Long Awaited ・・・遂に邪念(ノイズ)から開放されて爽やかなメロディが晴れ渡る空に響き渡ります。待ちに待った最高の瞬間はリスナーの耳に委ねられました。一度ならず二度味わいましょう。

#24.NO END NO WORLD –Less Vocal Ver.-・・・オープニングテーマのボーカルだけをミュートにしたバージョンです。いわゆるカラオケですね。こういったLessバージョンはEvolutionシリーズといったアレンジ盤を除くとかつては空の軌跡「星の在り処」、ぐるみん「ぐるぐるTonight」「Friends」、ザナドゥネクスト「White Lie in Black」がありました。今回久々に復活といったところでしょうか。存分に歌いたい方たちにとっては待ち望んだ収録なのでしょう。

ちなみにラストエピソードのイベント曲(創の軌跡BGM : 創まりの先へ - YouTube)ですが今回のサントラには収録されていません。恐らくあのイベント内容的に次の軌跡最新作の曲を先行して流したのではないかと思っています。なので本来は創の軌跡と関係のない曲。敢えて収録から外したのでしょう。

まとめ

今回好きになった曲は全81曲中55曲、その中で特に欠かせないお気に入り曲は19曲ありました。

ゲーム音楽は自分にとってゲームの肝心要なメインディッシュ。今作の音楽はどうだったかというと…良かったです。諸手を挙げて絶賛するまでとはいきませんが過不足のないナイスなサントラでした。他社と比べても十分遜色ないクオリティでしたし万人にとって何ら不満のない素晴らしいサントラだったと思います。ゲーム内でも良い印象でしたがCD音質で聴くとさらに印象はよくなりましたね。いくつかの曲は今後一生脳裏にメロディが焼き付き続けることになるでしょう。サウンドチームの皆さま、今回も素敵な曲をありがとうございました。

ただ少々個人的には苦虫を噛み潰したような表情を浮かべざるを得ない理由がありましてちょっと物足りなさは残りました(理由は後述)。閃IVの頃から次こそは…!という願いはまたしても叶わず。この調子だともうこの方針から変わることはないのでしょう。恐らく数年、いや下手したら向こう10年ぐらいはこのような状態で続くのかと思います。でもそれも仕方のないこと。受け入れるかそれとも黙って去るかを選ばざるを得ないのでしょうね。

あと全81曲(OPのVer違いを除くと実質全78曲)とここまで大量に曲を作る必要があったのかも疑問。いくつかの曲は1、2回程度の使用に終わり文字通り消費されるだけの音楽になってしまいました。別に曲はたくさん必要ではなく2枚組程度のボリュームで十分、そうすれば今回ほぼ半数の曲を外注の音楽スタッフに頼る必要もなかったように思います。実際同時期に発売されたコーエーテクモの「ライザのアトリエ」は2枚組サントラでしたがゲーム内で曲数の少なさに不満を覚えたことはありませんでした。近年の作品では曲数が無駄に肥大化する一方なので(これはファルコム以外にもいえますが)本当にこの場に新たな新曲が必要なのか、既にある新曲で間に合うのではないか、などもっとよく吟味しながら作って欲しいですね。でもその外注スタッフの曲は素敵な曲ばかりでしたので出来上がった曲自体に不満はないです。

作曲者の感想

冒頭セクションで述べた通り、曲別の作曲者情報は一切ありません。それなら公式に代わって自分がやるしかない、ということでここで拙作Wikiの宣伝です。曲別作曲者についてはこのWikiに答えはあるかと思います。

hajimari_credit.jpg

以下はあくまでも素人の戯言です。上から目線で申し訳ありません。

園田隼人

推測によると26/81曲(編曲も含める)、全体の32%を担当。

名実ともにサウンドスタッフの柱となる園田氏。氏のお陰でファルコム作品の音周りは全て成り立っているといっても過言ではないと思います。イースIXのサントラレビュー記事でも触れましたがイースVIII以降少し精彩を欠いているように思えた氏ですが(あくまでも自分の主観です)イースIXからはまた再び調子が戻ってきて今回も安心の氏ならではの曲揃いで不安を払拭してくれました。どれも指折りの出来栄えとなっていてトータルの満足度は高いですね。

まずロイドルートの通常戦闘曲「Stand Up Again and Again !」を氏が担当して頂けて曲調も継承してくれていたのは繋がりを感じられて喜ばしかったです。ちなみに氏が通常戦闘曲を手掛けたのは意外にも今作が恐らく初めてのはず。そういった意味でもメモリアルな作品となりました。そして今回最も評価したい曲は「Maliciousness in The Mirror」。モノトーンの地味めな曲ですがあの場に応じた雰囲気だけでなくメロディーの美しさ、そして音楽的な奥ゆかしさも中々のもの。キャリアを重ねた氏だからこその円熟味のあるいぶし銀のような曲となりました。次回作でも多数の曲を引き続き受け持つことになると思いますがもし軌跡シリーズ共和国編になるのなら世界観的に園田氏の持ち味が遺憾なく発揮されるのではないかと思います。期待したいですね。

宇仁菅孝宏

推測によると7/81曲、全体の8%を担当。

今回もイースIX同様に寡作でした。ファンとしてはもっと曲を書いて欲しい、と願っているのですが色々やむにやまれぬ事情もあるのでしょう。社内の音楽スタッフは曲作りに専念出来るわけではなくSEや音声編集、ゲームへの組み込みなど音周りのことを多岐に渡って全て受け持たなければなりませんでしょうしファルコムのような中小メーカーの場合は人手不足から他業種の作業に携わることもあるでしょうから。他に素人考えでは到底及びもしない内部事情もあるのだと思います。

そんな嘆きはともかくとして少ない曲ながらも今回も価値のある曲を残してくれました。まずリィンルートの通常戦闘曲「Like a Whirlwind」を作ってくれたのは氏が閃Iを除きII以降の通常戦闘曲を作っていたこともあって快哉を叫びましたね。そして作品の根幹となるクロスストーリーのメニュー画面、夢幻回廊のフィールド曲、そして重要な外の理との対峙曲、これらを受け持っていたのが依然として氏が社内から高く評価され信頼されている証。特に「零の邂逅」の音楽的な深みは類をみないほど。氏ならではの唯一無二の音楽世界を築かれています。その他の曲も氏の確かな技術力に裏打ちされた磨き抜かれたサウンドは健在。そうなるとエンディングロール曲も…と個人的に渇望していましたがさすがに3作立て続けになるとマンネリになってしまうのを避けたのでしょうか。それでも氏の曲で聴きたかったですが。他にせめて1曲ぐらいは中ボス戦曲を聴きたかったですね、イースIX「MONSTRUM SPECTRUM」や「WILDCARD」みたいなはち切れんばかりのロック曲を。さらに言うとフィールド曲も…って、高望みしているとどんどん聴きたかった曲が出てしまいきりがないことに。

ただ称賛ばかりだけではなく個人的には今回少し覇気に欠けていたようにも見受けられました。イースIXのときのようなガツンと来るインパクトの大きな曲がなかったというのもあります。それはともかくとしてとにかく少数精鋭、相変わらずクオリティは一級品、外注の神藤氏に最も近い域に達しているのがこの宇仁菅氏。満足した反面今回も満たされませんでした。次回の軌跡シリーズ最新作でも同様の少ない曲数になる可能性は高いと思われます。それならいっそ退社されてフリーに…と思わなくもないですがそのままフェードアウトしていった新井智氏や松村弘和氏、大崎政範氏といった例もあるので難しいところです。

古口駿太郎

推測によると3/81曲、全体の4%を担当。

イースIXの頃に入社されていましたが今回遂に満を持してのファルコム作曲デビュー。それがいきなりの場外ホームランをかっ飛ばしてくれました。Cルート通常戦闘曲「Wind-Up Yesterday!」、この1曲だけで値千金の価値があると思います。ネット上でもこの曲が好きという人はかなり多くて既に人気を博している模様。他の2曲も悪くない曲でしたがまだ氏の実力の程は未知数。もっと多くの曲を聴いてみたいですね。今までの新人の例からいってデビュー作では片手で数えられるぐらいでも次の作品では結構な量の曲が採用されることが多いので恐らく次の最新作では少なくとも10曲前後は氏の曲を聴けるのではないでしょうか。次回作が引き続き軌跡シリーズ最新作になるのならイースより作風的に合っていそうです。楽しみにしていたいですね。

神藤由東大

推測によると8/81曲、全体の10%を担当。

プロローグの殆ど、夢幻回廊の通常戦闘、重要な中ボス戦、重要シーンのイベント、ラスダン、ラスボス戦とある意味今作では神藤氏の曲が重要な役割りを果たしていました。作品の根幹となるシーンに使いたいぐらいそれだけ意義深く素晴らしい曲を作られていたという証でしょう。流石と言えます。氏に関しては文句の”も”の字もありません。ただただ賞賛の言葉しか思いつきませんね。

既に大人気となっている「Infinity Rage」も良い曲ですが個人的には「反攻の烽火」「Stake Everything Strategy」といった高機動のオーケストラ曲を讃えたいです。実は氏のオーケストラ曲はあまりに上手すぎて逆に聴かないことが多かったのですがこの2曲は毛嫌いする必要のないぐらい説得力の強い曲でした。改めて御見逸れしました。「Reverse Babel」の格調高い味わいも素晴らしくラスダン曲だからといっていたずらにドンチャン勇ましくする必要はないという証明もしてくれました。ファルコムと関わってもう何十年というベテランの神藤氏ですがまだまだ進化と深化は止まりません。次回作は一体どんな曲を作ってくれるのか、引き続き期待大です。

真我光生

推測によると37/81曲、全体の46%を担当。

海外ファルコムファンからは賛否両論の氏の曲ですが作品を重ねる毎にクオリティは改善。ファルコム作品との親和度も増していて今作は外野からの雑音を一掃するような会心の出来栄えだったのではないでしょうか。シリアスイベントを演出した「Raindrops With The Wind」「ひとかけらの光明」やエピローグを彩った「優しさを未来に託して」「Life Goes On」は心の底から感銘を受けるほど素晴らしくて氏の音楽センスは決して劣っていないことを証明してくれました。そして作曲者の音楽性が如実に露わになるバラード曲を聴けば氏の暖かな誠実さが伺えるというもの。「Section G.F.S.Ⅱ」「Golden Fever」「鋼鉄牙城」「波間に弾む心」といったシンセ主体のテクノポップも何ら不満ない鮮やかな出来栄え。これらのジャンルでは聴く価値の高い曲ばかりでブラボーです。またアップテンポで激しめのロック曲もこれまでに偶にあった(特に閃IVなどで)歪な音楽性が露呈することもなく万人に受け入れられやすいストレートに格好いい曲になっています。そして「夢幻の彼方へ」で遂に氏が音楽の深層へと辿り着きました。イースIXでその域に到達しようとしていましたが今作でひと皮もふた皮も剝けてより高みに到達したと言ってもいいでしょう。ということで次の最新作でもガッツリ関わるのは確実ですが今作を踏まえて次はどんな音楽世界をみせてくれるのか楽しみにしていたいですね。

関連記事
  • web拍手 by FC2
  • このエントリーをはてなブックマークに追加


コメント

  1. ふぁるこん | -

    まさか全曲レビューするとは思いませんでした。お疲れ様です。どのレビューも愛に満ち溢れたもので、とても読み応えがありました!
    総合的なクオリティは十分高くバラエティー豊かなサウンドだったので、自分も余り不満はありませんが、やはり宇仁菅氏の曲が少なかったのは残念でした…。軌跡シリーズを一新するであろう、記念すべき次回作に期待しています。
    真我さんのバラード曲はとても好きです。ロック曲も前より好きになりました。結局趣向は人それぞれなので、受け入れられないという人もいて当然だとは思います(自分は人の評価や趣向に流されがちなので、貴方のように確固たる価値観を持ちたいですw)。
    古口さんも園田さんも、本当にいい曲ばかりでした。
    神藤さんは最高でした。
    作曲者推測もお疲れ様です。もっと貴方の取り組みが色んな人達に評価されて欲しいです。長文失礼しました。

    ( 19:15 )

  2. 遊和(管理人) | mQop/nM.

    ふぁるこんさんこんばんわ。
    や、逆に自分のほうこそ長文読ませるかたちになってしまって申し訳ないです(汗)
    単に好きを拗らせてるってだけで取り組みというほどではないですよwでもお気遣いありがとうございます。
    次回は共和国編になりますが社長インタビューによると昔からのコアメンバーが主戦力とのことらしいのでお二方に期待したいですね。

    ( 19:41 [Edit] )

コメントの投稿

(コメントの編集・削除時に必要)
(管理者にだけ表示を許可する)


トラックバック

Trackback URL
Trackbacks